第354話 ページ25
「何!? 土砂崩れで道が塞がれてる!?」
中森警部ーーいや警部に変装した快斗がわざとらしい大声を上げる。
柵越しに報告をしている警官は声に驚きながらも首を縦に振った。
「それは確かなのか!?」
「はい……復旧には2、3時間かかると……」
「おいおい、あの小僧が毒でも盛られていたら……」
いやキッドさん、流石に毒は盛らんでしょと心の中で突っ込む。
復旧に2、3時間もかかるとなると、ズラかるのが大変そうだ。確かに一時的にすごい大雨が降ったから仕方がない。……幸いにも雨は少しずつ弱まっているし、ショーを長引かせればいいだけだと私は思うけどなあ。
「毒じゃないわ! 見て! スタンガンよ……」
私の警備位置から見えないがシェリーの声だ。すごいな、この子は。ちゃんと『灰原哀』やってんじゃん。すごいすごい。
にしても快斗は本当にスタンガンで工藤新一を気絶させたのか……。寺井さんにマジでスタンガン用意させたのね……と思うがそれ以前に爆薬とか手に入れてもらってるんだった。スタンガンの一つや二つ、造作もない、か。
あ、そういえば快斗がさっき言ってた『話』はなんだろうか。
勝手に拳銃のことだと思っているが、もしかしたら思い違いかもしれないし。
……でも態度からするとやっぱり拳銃の話だろうか。相思相愛、みたいじゃん?
あ、いや違う。愛はないことにしたんだ。
私は足元の水たまりに目をやって、ばちゃばちゃと少しだけ足音を立てた。
まるで、子供みたいに。
「愛なんかじゃ……ましてや恋なんかでもない……以心伝心よりも遠いところ」
弱音をかき消すように一瞬だけ、雨音が強くなった気がした。
「ーーということはつまり……怪盗キッドとその仲間は……まだこの中におるということじゃ!」
「ま……まだ……」「この中に……」「キッドが……」
「さあ、中森警部。汝の出番じゃ!」
あらら……とお堂の中に視線を投げる。私が勝手に傷ついている間に物語は進んでいた。
工藤新一くたばらせても、キッドが中にいるってバレてんじゃん?
それでもうまくごまかすのが怪盗キッドなんだろうけど。
ここからだとお堂の中がよく見えない。
バレないように警備位置を移動しようとすると、一人の警官が駆け寄ってくる。
え、私そんなに不審な動きしましたか? と身を固めた。
「数人、応援に来てくれないか?」
「……何かあったんですか?」
「山の麓に不審物が発見された。どうせキッドは中から出られないし、来てくれ」
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匿名 - 初めまして。楽しく読まさせて頂いています。一つ尋ねたいのですが195話で言っていた「零」シリーズ?はどこに行ってしまったのでしょうか?読みたいのですが見当たらなく…もし公開していないのであればぜひ公開してほしいです。宜しくお願いします。 (2022年1月11日 19時) (レス) id: 0d9a3fa9b5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年6月26日 20時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
pandahero(プロフ) - もしこのサイトを開く機会があれば、またほかのサイトで書くことがありましたら、ぜひまた読ませてもらいたいと願うほど、本当に素敵な作品でした。ありがとうございます (2021年5月12日 12時) (レス) id: 6df71f9a53 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 本当にとても面白かったです!更新待ってます!!! (2020年8月5日 22時) (レス) id: 12db53baf5 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - ただの純愛じゃなくて、少しドロドロ?してて面白いです!組織がやってることブッ飛んでるな、とか思いつつ笑 快斗と主人公がこれからどうなるのか、組織にまたまた捕まってしまうのか展開が楽しみです!更新楽しみにしてます! (2020年5月28日 23時) (レス) id: 9f6637cdbb (このIDを非表示/違反報告)
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