奇病棟脱出ゲーム

》第三十八話　ぽわぽわ ページ42

寝室に戻ろうとすると、アナベルさんに引き止められた。

「私たちの部屋で、お茶でも飲んでいきませんか？」

　急に誘われて疑問に思ったがとりあえず着いていく。聞いてみると、二人の部屋から四人分の湯呑が見つかったかららしい。

　二人の部屋は階段から少し遠かった。いつもは手前から三列目の扉までの距離しか歩かないので、新鮮な気分だ。

「着きました、ここです。」

　扉には Sonnenblume とあった。薔薇じゃないのか…そういえば薔薇は凛紅さんの部屋だったな。

　扉の先は意外と殺風景だった。大きな洋式のベッドが一つ、何やら大きな箱が二つ、それとこたつが一つだけだ。部屋の奥に点滴のようなものに繋がれたイザベルさんがいる。最近見ないと思ったら、点滴のようなもののせいで階段が不便だったのだ。

　…そして、なぜかさっきの怖い人もいた。

「あの…私ちょっと用事が…」

「何の用事ですか？」

「その…うららが部屋で待ってて…」

「お前の猫ならここにいるが？」

　どうしよう、言い訳がない。

「ごめん、うちが怖がらせちゃった？」

　あれ、意外と優しい。



　数時間後、私はあの三人とすっかり仲良くなっていた。こたつでぽわぽわしていたら時間はあっという間だ。

「んじゃ、明日も二人の部屋ね！」

　約束をしてから寝室に帰る。

「これが病棟じゃなければ、最高だったのにな。」







　

　

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