奇病棟脱出ゲーム

　第二十六話　なんだかんだ ページ29

結局、凌真くんは善さん(ミツバって読む人)に何かをもらって速やかに帰って行った。というより急にいなくなった。

ガシャーン

　下で何かが割れたようだ。見てみると、やっぱり深漓亜くんがお皿を割っていた。一実さんに台所を出禁にされている(職員さんなのに)。

「これで32回目ですよ、お皿はもっと丁寧に扱って下さい！分かりましたか？」

　お説教もされている。何だか可哀想になってきた。

「先輩ー、応募者居ましたよー」

　あ、僕さん。応募者って何だ？

「犬じゃないですか、生きてたんですね。お皿の注文お願いします。」

　扱い酷っ。確かに私たちとは気が合わない人だけど、せめて人間として見てあげてよ。

「天死・フォスターって人なんだけど、上はもう採用許可出してて、後は先輩の判断らしいよー」

　こっちも相変わらず無敵だな。

「お皿が無いとなれば、今日の夜はキジバトの踊り食いですね。」

　いや善さんも何考えてるの、怖いよ。あと調理器具は無事でしょ。

「まぁ、＿には妥当かもねー」

　…え？

　場の空気が凍りつく。今、僕さんは確かに、私たち患者さんを蔑むような発言をした。それも、かなり酷い言い方で。

「…犬、仕事を続けてください。」

　が、凍りついた空気はすぐに溶けた。時間がまたゆっくりと流れ出す。

「うんうん、みんなでお皿買いに行きましょう！」

「それはお前と自分の仕事だから…。」

　あ、一緒にやってはくれるんだ。

　なんだかんだで、職員さん達も仲良く…は叶わぬ夢だけど、うまくやってはいけてるんだなぁ。

　

　

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