006:モノクロアリス ページ7
日和side
はっ…嘘だ…
嘘だよ…ねぇ?
だってさぁ、信じられる?
さっきまで普通に話してた人が、死んじゃったなんてさ。
あー…笑えない。いや、笑えるか。
「ねぇ、志穂ぉー。こんな状況で冗談やめてよー。」
あくまでも私は普通に、ごく普通に、普段通りに接していようと思った。
なんでだろーね。
知らねーよそんなん。
「嘘なんかじゃ…嘘なんか吐いてません!!」
志穂は目にたまっていた涙をぽろりと流して私にそう叫んだ。
「ふざけないでよ…」
「ふざけてません!!」
自分の知らない間に死なれるのってさ、結構、辛いもんだよ。信じられないものだよ。…目の前で死んでくれてたら、私は…
……いや、なんでもない。
「姉ちゃ…」
「一緒に部屋戻ろう。」
無理だ。私にはこの空気は耐えられない。一刻も早くこの空間から抜け出したかった。
無理にでも日向を連れ出したかった。
泣き叫んで時弥さんに抱き付いてる茜ちゃんには申し訳ないけど、さ。
一番時弥さんと仲良かったのって…茜ちゃん、だったからね。
「……っ。わかった。」
何か言いたげだったけれど、何を考えたか、黙って私に着いてきた。
こういう弟持てて、本当に良かったわ。
「日和…。」
「ごめん、京夜さん。私、パス。」
よく、この部屋に残れるよね、みんな。つーか、冷静すぎでしょ。
そうして、私がドアノブに手をかけようとした時、パキンッと何かが割れる音が聞こえた。
何事かと思って後ろを振り返る。
私達の目に映ったのは静真が眼鏡を割っているシーンだった。
「やべ…」
京夜さんがボソッと呟いた。
もちろん、他のみんなも唖然呆然。
ヤバイ…。静真って、最近無かったから忘れかけてたけど…そういえば────
─────二重人格、ってやつだったっけ。
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