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…で、そのあと、何故か俺の家にAが来ている。
「うっわぁ〜…アーサーの家おっきいねぇ〜…」
「ソファーにでも適当に座ってろ。」
「はーい!」
俺は紅茶を淹れるためにキッチンに来た。食器棚をガラッと開いて、コップを2つ取り出す。
なんか…2人分って久しぶりだな…
アルフレッドだって独立したし、菊との同盟だって、期間は短かった。それに、香も耀の所に帰ったもんな…
「で、茶葉がここで…」
「私も手伝う!」
「うおぁ⁉…って、Aかよ…。ソファーに座っとけって言ったろ?」
いつの間にかこっちに来ていたようだ。とっさのことでびっくりしてしまった。
Aは「だって暇なんだもん。」と、頬を膨らませながら拗ねた。
べ、別にかわいいとか思ったりしてねぇんだからな‼
「じゃ、このコップ、洗ってきてくれ。」
そう言って、手渡すと、「ラジャー!」と言って、水道の方へ向かった。
…はぁ。何なんだあいつは…
普通初対面の男の家にのこのこ着いてくるものなのか?なぁ。
それに、両親とか心配するんじゃ…
「洗ってきました!」
「早い!」
なんだこいつを早すぎじゃねぇか?思わず叫んじまったよ…
「次は何をすれば良い?」
目をキラキラさせながら、キッチンを見渡しているAに俺は尋ねた。
「なぁ、お前の両親、心配してんじゃねぇの?連絡とかしなくて良いのか?」
もし、親御さんに通報されたら困るのは、他でもない俺だ。
「りょーしん…?」
おいおいおいおい。嘘だろ?
「お前の母親と父親。いるだろ?」
俺がそう言うと、Aは首を傾げた。
おい、嘘だと言ってくれ。…あぁ、今日はエイプリルフールか。
俺はバカなのか?ジョークにまんまと引っ掛かったバカなのか?
「私には…いないから…」
演技うまいなおい。やめてくれ。そんなシリアスな雰囲気にしないでくれ。俺はそういうの苦手なんだ。
「嘘だろ?」
Aは下をうつむきながらフルフルと首を横に振った。
はい、アウト。
ちょうどお湯が沸いた合図のメロディが聞こえてきた。
「…とりあえず、紅茶持ってくからあっち行っとけ。」
「うん、わかった!」
…大変なことになったぞ…これ。
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