お願いです、日常を返してください。第二巻【妖怪松】

其の五十 ページ19

恐る恐るでかいカラス、もといカラ松の背中に乗ろうとしてみる。


おは、結構ふかふかしてる〜




…じゃなくて!!


「ごめん、カラ松。無理。」

「えっ」



うん、無理。いや、別にカラ松が嫌なんじゃない。というかむしろ、ふかふかしててすごく抱き付きたい。


けどね、これからあの大空を飛ぼうなんて絶対無理。




「私さぁ、高所恐怖症なんだよね…」


そう言うと、目の前の彼は「あぁ、」と相槌を打った。




「それは、落ちるかもしれない、という恐怖心によるものか？」

「うーん…たぶんそうじゃね？単に怖いし。」



「そうか…なら」

とか言いながらいつもの人型に戻った。



そしてこれまたでかい効果音をたてながら、背中に大きな羽が出現。



え、何。飛ぶの？


飛びたくないって、高所恐怖症だってさっき言ったよね、カラ松君。ねぇねぇねぇね(((((




「A!!」



そしてまるで来いとでも言いたいのか、思いっきり腕を広げた。









「…ん？」




●○●




「いやぁぁぁあああああああ!!無理無理無理無理!!下ろして!!マジで!!いやっ!!」


ね、結局どうなったと思う？



眼下に広がるは緑豊かな山々。

良いねぇ、のどかだねぇ…




「すまん、暴れないでくれるとありがたいんだが…」

「何で!!何でこうなった!?高いの無理なんだって!!」




そう、今、私はカラ松に抱き抱えられた状態で飛んでます。


カオス




カラ松いわく、腕でホールドしときゃ落ちないってさ。

それでも怖いのは怖いの!!



「あ、ヤバイ、死ぬ…」

「A!?」

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