逃亡2 ページ43
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「ッ!!ヒュッ……!!」
ドサリ。と何かが落ちるような音と、繰り返される荒い呼吸。
が、遠くで聞こえる。
体に、感覚は、ない
もう、死んだ……?
よく分からないまま、私はてを動かしてみる。けど、死んでいるせいか、手が動いているのか、分からない。
というより見えないのだ。
でも次第に、遠くにあったはずの荒い息づかいが、近くで聞こえ始め、動かした手が、暗闇の中で浮かび上がり始める。
見え始めたのは、手だけではなく
回りの景色。
ぼんやりとした視界の中、私は床を見つめている。
けど、定まっておらず、不安定だ
私は、死んでいなかった………?
声を出そうにも、自分のものじゃないみたいで、声が出せず、ただ息をしている。
荒い呼吸は、わたしのものだったんだ
完全に戻った感覚達。
心臓が血液を送り出し、体内に巡っていくのが、暖かく感じられるような気がした。そして、脳まで行き渡る。
それが何回か行われると、ズキズキと痛む脳の痛みがおさまってきた。
見上げると、未だに無惨さまが私を睨み付けている。
赤く、冷たい瞳で見下ろしている
ただ無惨さまより、その後ろにある窓にめがついた。
あそこから
逃げられる
あそこから、なら
父さんから
鬼舞辻無惨から
私はなけなしの力を振り絞り、立ち上がる
無「……」
けど、私の首をもう一度絞めたいのか、何がしたいのか。無惨さまは私に手を伸ばしてくる。
思わず目をぎゅ。瞑る。
もしかして、バレた……
またくるしい___
『……?』
その手が、そっ。と頬に触れる
え?
その優しい……さっきまでとは全く違う触れ方に激しく戸惑いを覚えた。
まるで何か鈍器で頭を殴られたかのような、そんな衝撃。で、目眩がする。
けど私は、ひたすら逃げることが、逃げることだけが頭で一杯だった。
私は恐る恐る瞳を開け、無惨さまを目に映した。
眉をぐっとよせ、口を真一文字に結び、どこか苦しそうだなカオ
見たことのない
人間味の帯びたカオ
頭のなかで、私の声が響いて、訴えかけてくる。
私、もう無理だ…
これまで従順だったのは、きっと、どうかしていたんだよ……
だって本当の私は、こんなに逃げたがってる。
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時