逃亡 1 ページ42
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べん。
無惨さまが叫ぶように怒ったのと同時に玄が鳴らされ、部屋が変わる。
これまで見たことのない部屋。
でもその部屋をじっくりと見回すまもなく。目の前の無惨さまに、ぐぐッ!!。と首を掴まれる
『う゛ッ……!!』
呻きながらもその息苦しさにひたすら耐える。
徐々に徐々に首に力を込められていき、頭に血が上っていくような感覚。
でも抵抗はしない。
できない。
してしまえば、もっと酷いこと…これ以上に苦痛があればの話だが、それをされることとなる。
その事を、体が思い出させてくれた。
その線の細いからだには似合わない血からの強さに、わたしには、これまで手加減していたのだと思い知らされる。
無「躾が足りていなかったようだな」
無惨さまが更に首を絞める手に力を加え、体ごと持ち上げた。
『くッ……が……ッ』
頭がとれてしまいそう。
声にならない声をあげ、足元をバタつかせる。
足が、つかない……!!
無惨さまをみると、真っ赤な瞳の瞳孔を開き、正しく鬼のような瞳をつり上げて、私を睨み付けている。
死が迫ってきている。
分かる。1度死にかけたことのある私には。
父さんに、殺されかけた、私には。
あの日の底知れない恐怖で、全身が震え上がる。
私は、死を、覚悟した
のに、無惨さまの向こう。部屋に、大きな窓がついてあるのが見えてしまった。
そしてその一つが、開け放たれおり、まるでそこから逃げて、と言わんばかりに、カーテンのようなものがはためいている。
その揺れに誘われるように、ただ一点を、窓だけを必死に見つめていた。
城の中には、窓のついた部屋は、無い。筈だ。和室ばかりで。
つまり、その窓は、外に、繋がっている。
ただそれに、気づいたところで、見えてしまったところで。
今の私にはどうにもできない。
走って、その窓までたどり着こうにも、足は宙を蹴るだけで、走れないんだから。
私はこれから、きっと死ぬことになるのだから
無「苦しいか」
無惨さまの、しつもんの意味が、よくりかいできない。
痛いとこたえれば、苦しいとこたえれば、わたしをゆるすのだろうか。
だから、そんな質問をするのか
無「A、赦されたいか」
もうすぐ意識が途切れる。というなか、無惨さまの声が響いた。ただ、痺れる脳内では何を言っているのか理解するのがやっとだった。
無惨さまの綺麗な顔が……
死ぬことは、眠るよりも穏やかだと、誰かが言っていた
けど………
くるしい
きれい
つまる
きれい
おわる
くるしい
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時