歯形 ページ40
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『ん…………』
目が覚めると、布団の暖かい感触はどこにもなく、冷たい、畳のような感触。
何があったのかと思って私は寝起きのまだ完全には起きていない体を起こした
何で………?
いつ変わったの……
目の前の光景に戸惑う私に、頭上から声が降ってきた。
「目を覚ましたか。A」
久しぶりに聞いた、震え上がってしまいそうな、腹の底に響く強い声
それには、もちろん怒りが含まれており、その爆発しそうな怒りを抑えていることだけは分かった。叩き起こされなかっただけ、マシだろうか
けど何故なのかは分からなかった。
『無惨さま……』
私は無意識のうちに、その名前をなぞっていた。
冷たい紅の瞳が、私を見下ろしている。私は見上げたまま、その二つの紅から目を逸らせない
これからまた、怒られてしまうのだろうと思うと、痛みを思い出したカラダが、震え始める。
でも、視線を横に移したとき、震えがピタリと止まった。
私だけじゃない……
童磨だ………!!
昨日の時、あの時、猗窩座と呼ばれた青年の鬼に、告げ口でもされたの?
それとも、ただ単にバレた?
でもその童磨の横には、あの青年も同じようにして並んでいる。
じゃあ、何で?
……チクリ。と存在を主張するように痛みだした首筋。そこが何故痛むのか。
心当たりは、昨日の___
何にしろ、今から童磨が殺されてしまうかもしれない。
私と話したばっかりに。
私は、本当は私は忌み子だったのかな……?
だから父さんも、無残さまも、童磨も。それなら、まだ納得がいったかもしれない
無「よく見ておくが良い。私は絶対なのだ。私の言った事に従うことのできぬ愚か者が、どんな目にあわされるのか。
しかと見ておけ」
無表情のまま、そう告げた無惨さま。
あぁ、待って、やめて。やめて。
やめて。
そうやって叫びたいのに、声が喉のところで押し止められたように声が出ない。
そんな私から目線を逸らし、童磨に向き直る
無「何故言いつけを破った。答えろ」
いつもヘラヘラと笑っている童磨も、今は表情を固くさせ、無惨様を見ている
童「……笑ってくださるのです。Aが、この俺に。だからは私はそれが嬉しく___ッ!!!」
初めて私の名前を口にした童磨の言葉はそこで途切れ、その代わりに、ゴトリ。と音を立てて何かが床に転がった。
それが童磨の右腕だと理解するのに、そう時間はかからなかった。
私は、ただ呆然と、肩から吹き出す赤を、見ているだけ___
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時