猗窩座 弐 ページ39
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__私はかばうように童磨の体を抱き締めた。筈だった。
べん。とその瞬間、琵琶が鳴らされた。
そこにある筈の童磨の体を抱き締めたつもりが、スカ。と空を抱き締めていた。
『え?』
逃げたのかと思ってぐるっ。と辺りを見回すと、青年も、童磨もいない。
違う開けた場所。見たことのある。
鳴女さんのいる場所だ。
私は勝手に鳴女さんと呼んでいるが、本人から了承を得たわけでもないし、紹介されたわけでもない。
これは、鳴女参が助けてくれたんだ……。
私が、生身の人間だから…死んでしまうから……
いや……違うな…
無惨さまから、殺さないように。と喰われないように。と言われているからだろうな……
そこに、その行為に、鳴女参の意思なんて、無いのかもしれないけど。
『鳴女さん、有難う御座います』
聞こえていないのかもしれないけど、お礼を伝える。
少し、嬉しかったから。
かなり私的解釈が混じっているけど、助けてくれた。そう思いたいから。
鳴女さんは、無言を貫いた。
届いていなくても、満足だった。
鳴「……助けたつもりは、御座いません。…あの御方が、お帰りになられます……
お部屋にお戻りください」
鳴女さんは静かにそういうと、べん。とまた琵琶をならした。
答える間もなく、部屋に戻された。見慣れてしまった部屋。
先程まで床や壁、天井と至るところに飛び散っていた血や、童磨の残骸が、綺麗に、跡形もなく片付けられている。
何やら香をたかれているようで、鉄のにおいはしなかった。
真ん中に敷かれている布団と毛布の間に体を滑り込ませる。
……………ふと考えがポツポツと浮かんできた。
そもそも私は……童磨に、襲われそうに、なっていた。童磨は、じゃれたつもりなのかもしれないけど。
それを、あの青年は助けてくれたのかも……知れない。何故か童磨の味方をしていたけど……
また会えたら、お礼をしなくちゃ…
きっと、もう二度と会うこともないし、私と目を合わせてもくれないだろうけど。
無惨さ間が帰ってこられる前に、眠りにつこう。そうでなくちゃ、また殴られてしまうから。
だんだんと収まってきている痛みを、思い出したくはないでしょう?
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時