土産 壱 ページ30
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それからそんな童磨のいる毎日が”当たり前”と思えるほどの時間が経った。
ただ、私は長い間姿を見ていない
誰かと言うと、無惨さまの事だ
流石にもう人間の玩具には飽きてしまった?
無理もない。私は犬だから命令以上の事はなにもしない。することを許されていないから
それに積極的なわけでもない。気分を害されるかもしれないから、極力視界にも入らないようにしている
そんな犬が、飼い主にすかれるわけもない
もし飽きたのだとしたら、殺されるだろうなぁ……なんて、自分の死を他人事のように考えていた
無惨さまの居ない昼間、私は今日も露天風呂を目指して歩く。
夜になれば無条件に湯浴みの時に露天風呂に行けるけど、やっぱり青い空がみたい。
それに
一日の大半以上を寝て過ごしている私にとっては(たいした運動にもならないが)この時間が運動の代わりのようなものだった。
そんな時__ふっ。と後ろで何かの気配がした。もう鬼殺隊じゃないのに、そういうものにはまだ敏感らしい……
童磨………?
そういえば今日は童磨の姿を見ていないな。と思いながら振り向く__
予想とは違うその人物に私は体全身を強ばらせた
無「貴様、何故此処に居る」
久しぶりに聞いたその声だが、カラダはおぼえているようで、私の中から意図も簡単に畏怖の念をひきだした
『む、ざ…さま_』
無「許可していないはずだが?」
少し被せぎみに発せられたその声色は、怒りのようなものをふくんでいる。鬼特有の瞳孔も開かれており、赤い瞳がギラギラと光っている。
私は咄嗟に床に正座し、手をつく。
『申し訳ありません』
静かに床に擦り付けるようにして頭を下げ、謝ったその瞬間
『ッ!!』
左頬に痛みが瞬時に駆け巡りり“痛い”と思った時には首がゴキュっと変な音が鳴り、口の中の歯が何本かおれるような感覚がした。
私は無惨さまを見上げてようやく……無惨さまのその長い足に、顔を蹴り飛ばされたのだとわかった。
久しぶりの痛みに、顔を歪めながらも、なんとか声出さずして耐える。後から後から痛みがじわじわと襲ってくる。
慣れた痛みに、もう理不尽だとは思わない。元々、思わない。
そういえば、一度も此処へ来て理不尽だとかは思った事がない。
無「質問に、答えろ」
口の中の感覚が、麻痺しているなか、上手く喋れているか分からないが……上手く回らない舌を動かして答える。
それは痛みよりも“質問に答える”という命令への対応が上回ったからだ
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時