童磨 弐 ページ27
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童「ふふっ。君はあの御方のわんこなのだろ?俺のわんこな訳がない。
安心しなよ」
『じゃあ何故……』
童「ん?あぁ、あの御方にね?“つい先日犬っころを飼い始めたから決して触るな”
としつこく言われていたのだけど……どうも気になってしまって…ねぇ?」
“犬っころ”……
男は話ながらパチン.と対の扇をならして口許へ持っていくと、ニヤリと浮かべた厭らしい笑みを隠した。
童「犬小屋を探していたんだけど、なかなか見つからなくてねぇ〜…それでようやく見つけたと言うわけだよ!」
さも嬉しそうにニンマリと笑って童磨は私に向かって両手を広げた。
童「さぁさぁ、俺に教えてくれないか!何故犬があの御方のお側にいるのか
何故君は気に入られているのかを……
どんな手を使ったんだい?俺は少し嫌われ気味だし、到底思い付かないからなぁ……
是非参考にさせてくれよ!」
笑顔でそういわれたが、私にもわからない。
でも分かっていることはひとつある。
無惨さまは私のことを気に入っているわけではないこと。
『…勘違いだと思います。私は、別に…というより決して好かれてはいません』
断言できる。
あの人が私に優しくしたことも、特別気に掛けることも、笑い掛けることも、ない。よく話すことだってないのに。
ただこなすだけ。言われたとおり。それだけ。それだけしかしない犬を、何処を気に入ると言うんだろう?
父さんのお気に入りにもなれなかった私が、他人のお気に入りになることはない。
そして何より、父さんがそれを教えてくれた
“お前は誰からも愛されない……今も、これからもだ”
父さんがそういうんだから、きっとそう。父さんは正しいんだから
私の答えに童磨は大袈裟に眉を八の字にした
童「えぇ?そうかい??でも言いきることはできないだろう?
現に今君が飼われ始めて、二週間もたっているんだよ?」
『それが、どう繋がるんです…か』
童「ん?君以外に二週間持つ人間はいなかったってことだよ!
いや〜良かったねぇ。良かったねぇ」
恨めしそうにクスクスと笑う童磨が、私には少し気味悪かった。
何が良いの。何処が良いの。
一瞬そんな思いがよぎったけど、すぐに思い直す。
ずっと良い。全然良い。父さんの頃に比べれば。
体を汚されることもなければ、血を吸われることもない。
衣食住は取り揃えられていて、毎日湯浴みも許されてる。
何てわがままになってしまっているんだろう。自分は。
今のままで、充分でしょ?
私はへにゃりと笑った。
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時