鳴女 壱 ページ24
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__私は、違う意味で恐怖を覚えた。
痛みとはまた、別のモノ
無惨に“私”を奪われる。ということ。
知らぬ間に、いつの間にか、自分ではない自分が出来上がっていくという恐怖。
けどそれも、三年前に作り上げられたものでしかない……
私は、これからどうなってゆくの…?
まぁ、どうでもいいか__
無「おい__」
その時、運悪く自室の襖が無惨によって開かれた。
あ。と思ったけど、多分遅い。無惨は言葉の続きを言うことなく
ゆっくりと、私の手の内にあるものに目を落とし、それから、私と視線を合わせた。
こめかみに、青筋が浮かび上がっていた。
無「貴様、何をするつもりだ?何もなしに刀を握る筈があるまい」
あぁ、勘違いされている。
ってすぐにわかった。
けどギラついたその二つの赤が私を掴んで離さず、思ったように口から言葉が出てこない__!!
早く、早く弁解しないと……
本当に、この刀でどうこうしようなんて気はない。一寸も。
嘘はついてない。信用してもらえるかどうかは、別として。
『た、だ、この刀を眺めてた…だけです。無惨さまに危害をッ加えようなど、これっぽっちも、考えていません…何も、する気はありません…』
少し震える唇のせいで、可笑しな所で言葉がつまったが、言うことはできた。
これで信じてもらえないなら、もうどうしようもない。
無惨は、私が嘘をついているか否かを見極めるように目を細めたあと。
くるりと無惨がやって来た方の空間に、体の向きを変えた。
信じて……もらえた…ってことでいいの?
嘘をついている訳じゃないのに、ついているのがバレなかった時のように、深い安心を覚える
無「鳴女。頼んだ。私は少し出る」
私の位置からはよくわからないけど、“なきめ”にそう短く告げると、こちらを振り返らないまま、無惨は歩きだした。
鳴「お任せください……」
声とともに、べん。と琵琶が響いて、目の前の襖が閉められる。
鳴女って……?誰?鬼?
それとも、私と同じような……
そんな淡い期待を込めて、閉められた襖を開けて、部屋に進む。
その部屋の左手には、私が落ちてきたときのような、まだ下に続く穴のようになっていて、いくつもの部屋が並ぶ、異空間だ。
そして中央に鎮座している、女性。
髪の毛の束で、目元は見えないが、口元だけは見えた。
『貴女が、鳴女さん…?』
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時