喰事 弐 ページ17
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吐きそうなのを堪えて、数回噛んで、喉の奥に押し流す。
まずい。まずすぎる……いや、不味いというより、味がない…というのに近い。
肉に関して言えば、まさに、粘土のような固形物を噛んでほぐしている。という感じで…
気持ち悪い。……けど、父さんの頃よりかはマシだった。
父さんといた頃は、まともな食事すらも与えてもらうことはなかったのだから
静かな時間が流れた。
どちらかの咀嚼音だけが広い部屋に響き渡るだけだった
私の食べ進める速さはとても遅い。
でも流石に何も食べないと、体が持たない。
例え、それがどんな味でも。
でも、限界が近かった。
食べたことのない人肉を食べているかのようで、口の中で血の味が広がって、もう何がなんだか分からない。
もう無理……これで許してもらおう…
私は私のために用意された物の1/3程度を口にし、最後の一口を飲み込むと、ナイフとフォークをおいた。
『……御馳走様です』
私が小さく呟くと、無惨は私に鋭い視線を向けてきた。俯いていても、それが分かるほどに。
無「残っているが?」
流石に許されない……
とは想いつつも、言い訳を試みる。
『あまり、食が進みません…』
何のせいでかまでは言わなかったが、素直にそう答える。
とんだ我が儘だ。殴られてしまう、きっと。
私は怒号が飛んでくるのを覚悟したが、無惨からの答えは予想外のモノだった
無「……あぁ、和食が良いか」
そういうわけじゃなくて__
貴方のその血の匂いが嫌なんだ。そう言いたいのに。
言葉は出てこずじまいで、首を横に降る。
すると、明らかに苛立たしげな声が響いて、空気を震わせる
無「何が気に食わない。言ってみろ」
『……は、い゛ッ!!』
私が返事をするのが少し遅れたせいか、裸足のままの私の足を、テーブルの下でぐりぐり。と物凄い力で踏みつけられる。
その痛みに耐えながらも、私は話を続ける。
『血の、匂いが……料理と、混ざって、まるで人の肉を喰べているような気になってしまうんです…』
言ったあとで、後悔した。
そして殴られる事を覚悟した。
父さんは何時も私が意見するように、
ただ喋るだけで、怒り狂って私を殺さんとばかりに暴力を振るう。
私の言っていることが正しくても
ググッと足を踏みつける足に力が加わり、私は悲痛に顔を歪める。
あぁ、全部食べれば良かった___
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時