喰事 壱 ページ16
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__父さんの時とは違う。だって相手が鬼の始祖であり、頂点なのだから。
とにかく………捨てられないことを祈る他ない。何時気が変わるかなんて分からないのだから。
鬼舞辻無惨はああは言っていたけど明日にでも鬼にされるか食べられるかされているかもしれないんだ…
自分の中で状況に整理をつけ、もう仕方の無いことだと自分に思わせた。
いや、だって仕方がない
もう助からないんだし
とりあえず、顔が洗いたいし、口の中をゆすぎたいし、湯浴みもしたいしで、やりたいことはたくさんある。
どれも許されるとは限らないが。
まぁ、父の時同様、“オネガイ”をする他ない
そしてその“オネガイ”をしようにも、まずこの部屋をでなければ始まらない。
そう思い、襖に手を掛けたとき。
べん。と琵琶の玄を弾くような音が響いたような気がした。
その音が鳴り終わると同時に襖を開ききった。
『!!』
目の前には寝ていた部屋よりずっと広い部屋が広がっており、部屋の作りも和室ではない。その真ん中に、テーブルがひとつ。
その上に洋風な食事が並べられているのが見える。
そして、それをナイフとフォークで食べ進めている、無惨の姿。
どきん。と心臓が大きく脈打つ。
匂いですぐにわかった。
あれは、洋食ではない
あれは____
人肉だ。
当たり前だ。鬼が人間と同じように食事をするなんてあるわけないのに。
無惨は立ち止まったままの私をちらりと横目で見ると、口を開いた。
無「向かい側に座れ」
『はい……』
私は、人肉を食べさせられるの?
これからさせられることを考えると、吐き気がしたが、何とか声には出さないよう、決められた通り返事をした。
そしてそのまま小さなテーブルの無惨の向かい側の椅子に腰かける
つん。と人間の血の匂いがする。
私は、無惨の食べる様子を……というより“それ”じたいを直接目に入れないようにうつむいた。
無「食事だ……安心しろ、お前のそれは人間のためのものだ」
『はい……有難う御座います』
一応感謝の言葉を述べつつも、内心全く喜べない
慣れないフォークを手に取り、そっと口許へ持っていき、咀嚼する
はっきり言うと…我が儘かもしれないが……
血の匂いが邪魔で、何を食べても、口に含んでも、人間のからだの部位を思い浮かべてしまう。
まるで、それを食べてしまっているような。
目の前のそれは、きちんと私の知っているそれなのに、口の中に入れると、別のモノに成った。
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はるか - けいどくでしゃくしゃくで。。逃亡者どうまにあったらいいな。。もし、屋敷につれていかれたり。。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ちょこざいですね。中国語では失う鬼の漢字がはいっているんですよ。 (2020年12月8日 12時) (レス) id: d87eae5019 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ろんり的をやぶるのもどうまらしいです。笑った顔を見たことなくて嫉妬したみたいです。後、前回のは魑魅魍魎ちみもうりょうです。そして無惨をドラゴンにたとえて、ドラゴンロード。楽しみです。 (2020年12月4日 21時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 魑魅魍魎があらわれておもしろくなりました。 (2020年12月2日 20時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ぶりょうをかこつなくてよかったね。頑張って。 (2020年11月23日 19時) (レス) id: 231375fc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穴 | 作成日時:2020年11月4日 18時