痛む愛【鬼舞辻無惨】

絶対服従 壱 ページ13

Aside




『じゃ、あ、何故?!』




殺されるかもしれない。



という死への恐怖を抱いている私に、鬼舞辻無惨は、殺す気も、鬼にする気もないといった。



何故…？！



理由がわからない。

全く理解できない。



両手に持っている日輪刀を無惨の腹に更に沈めていく



ただただ、恐ろしいぐらいに美しいその顔を、吸い込まれるように真っ直ぐ見つめている。というより、睨み付ける



何故私を殺さない？
鬼殺隊なのに………


これが話に聞いていた鬼舞辻無惨…？


無惨は私の問いかけに顔色一つ変えることなく吐き捨てる。




無「お前を飼うと決めたのだ。

そもそも理由は必要か？どうせ助かることのないお前をどうしようと私の自由だ。」

『ぇ？』




私、鬼に飼われるの？
理由もなしに？

私、どうせ助からないの？
まぁ分かってたことだけど


私が間抜けな返事をした瞬間、顎を掴んでいた手が離され、腹部に激痛が走った




『ｯ!!』




その蹴りの強さに、呼吸をできずにいると、頭上から声が響く。


無機質なその声に、体が無意識に震え上がった




無「遅い。“分かりました”と言え」




その言葉に、もう。

私は飼われているのだと。

逃げられないのだと。実感した




『っ…分かりました』




プライドの欠片もない私には、頭を垂れて従順になることは、そこまで難しいことではなかった。



何より、頭で理解するよう利も先に、ようやく吸えた空気を吐き出しながら

“分かりました”と言葉が口をついて出た









昔が、思い出された……


あの頃も……

こんな感じだったっけな…






無「……まぁいいだろう。私の命令には絶対服従だ。いいな？」

『はい。分かりました』




刀を離し、両手でお腹をおさえ、蹲りながらも、決めれた答えを口にした。



あぁ、またこれが始まるのか……



そして、またも顎先に、何かが触れた。

が、それは人のてではなく、固く、冷たい艶のある靴。の爪先。


そのままｸﾞｨｯと上を向かせられる


急な首の角度に耐えながらも、見上げる。



冷たく、瞳孔の開いた、朱い瞳がギラギラと私を見下ろしている






綺麗なような、怖いような


鬼なのに。





そんな容姿を与えられているこの男の事が少し羨ましい……



なんて、今の状況を全く理解できていないようなことを考える


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