本当の貴方は何処へ〈鬼滅の刃〉

玖 ページ11

え？

なんで禰豆子ちゃんの腕切ってんの？

大事な妹なんじゃないの？

禰豆子ちゃんは均衡を崩し、前のめりに倒れる。

俺は足の筋肉まで呼吸が行き渡るように意識し、過去最高の速さで禰豆子ちゃんを炭治郎から引き離す。

すると、俺の髪が１房切れた。

戦慄した。

あんなに命かけて禰豆子ちゃんのために頑張ってた炭治郎が禰豆子ちゃんの頸を切ろうとした。

なぁ、本当に炭治郎じゃ無くなったのか？

この音はなんだよ。

炭治郎の悲鳴みたいな。

本当のお前は何処に行ったんだよ。

なに逆の事してんだよ。

炭治郎は隊服を着ず、着物を着ている。

だから、腕がよく見える。

俺は目を見張った。

炭治郎の腕には刀を握る時の力とは別に変な力が入っている。

物凄い力だ。

俺にはあの変な力が何処にかかっているのか分からない。

すると、柱が一斉に動きだした。

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天

蟲ノ呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き

霞の呼吸 壱ノ型 垂天遠霞

風の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風

音の呼吸 壱ノ型 轟

恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋

蛇の呼吸 壱ノ型 委蛇斬り

岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き

柱がそれぞれの技を繰り出す。

一斉に動くため突き攻撃が多かった。

一子乱れぬ技に俺達が割り込める筈がない。

継子のカナヲちゃんだって突っ立ったまま。

状況を見てそれに見合った最強の技を出す。

それぞれ得意な技があるのにそれを出さずとも鬼に勝つ技の練度

きっと血を吐くような辛い練習だった。

だからこそ柱達が誇れる強さなんだ。

俺はそんな練習したか？

ずっと逃げてばっかりで

本当に誇れる強さ？

『やさしさは人の心をどこまでも強靭にする。誰かの為に振るう刃は、この世の何よりも強い刃だ。お前はそれになれ。』

『いついかなる時も、弱き心に寄り添い、その盾となれ。弱さを知るお前だからこそ、出来ることだ。お前がそのやさしさを失くさない限り





お前はきっといい剣士になれる』


じいちゃんの声が聞こえた気がした。


〜〜〜〜
技名読み

打ち潮(うちしお)
昇り炎天(のぼりえんてん)
蜂牙ノ舞・真靡き(ほうがのまい・まなびき)
垂天遠霞(すいてんとおがすみ)
勁風・天狗風(けいふう・てんぐかぜ)
轟(とどろき)
懊悩巡る恋(おうのうめぐるこい)
委蛇斬り(いだぎり)
天面砕き(てんめんくだき)

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