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最後の役割 ページ15

和が天へ行ってから、早いもので六年がたった。

和が倒れてからは早かった。先生がどうにか回復させようと頑張ってくれたけれど、結局意識は戻らなくて、よくテレビで見るような「最期の言葉」も聞くことが出来なかった。

もし意識が戻っていたら……なんて言ってくれたんだろうね。


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和の生命維持装置を切るのは、どうしても私がやりたかった。先生にも両親にも止められたけれど、これが私が和にできる最後の役割のような気がしていた。


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葬儀が終わってすぐの頃は勉強も何も全く手につかず、ご飯も食べられなくなって結局一年留年してしまった。

けれど、支えて、励ましてくれた友達のおかげで私は無事産婦人科医になれて、沢山の人々の希望の誕生に立ち会うことが出来ている。出産がどれも幸せな物ばかりでは無いと言う現実も分かったけれど、でもやっぱりこの仕事に就く事ができてよかったと思う。

生まれてきたこどもたちには、私が和と出会ったように素敵な出会いをして、私が和と過ごした日々のような幸せな人生を送ってほしいと、心から願う。


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 そして今日私は、そんな私をずっと支えてくれていた男性と結婚式を挙げる。

 和には叱られてしまうかもしれないけれど、私は和を忘れることなんて出来ない。私が愛する彼は一人しかいなくて、彼の代わりは誰にもできない。

けれど彼は「それでもいい」と言ってくれた。「一番じゃなくてもいい。彼を大切にする、そんな君が好きなんだ」と。その言葉通り、その男性は私をすごく大切にしてくれた。この人となら、幸せになれる。そう思った。

あの日の空→←ありがとう



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豆娘(プロフ) - にしさん» 遅くなってすみません。ありがとうございます、ありがとございます。もともと原稿用に書いていたので、こういうサイトのだと読みにくくなるかと懸念いたしておりました。嬉しいお言葉、本当に、本当に、ありがとうございます!! (2012年7月30日 19時) (レス) id: 1e72e96e25 (このIDを非表示/違反報告)
にし - ヤバいです!!!涙腺がピンピンのはずの私が号泣しました;; (2012年7月5日 14時) (レス) id: 8cdf065869 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆娘 | 作成日時:2012年4月20日 15時

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