１１時 ページ16
敦side
いつの間にか目を覚ましていた彼女は、顔だけをこちらに向けていた
大きく見開かれた瞳に捕らえられたように動けないなか、
彼女は再びクスリと笑うと体を起こした
「まぁ、ため息１つで逃げてしまう幸せなんてちっぽけですけどね」
いきなりの事に思わず一歩引いてしまったが、彼女は興味を失ったのか髪をいじり始めた
手櫛をしながら最後まで指に絡む髪を眺める
なんとも様になる
わざわざ洗ってくれたんだ、ひと通りその作業が終わると彼女はぽつりとそう呟いた
長い髪を背面に送ると、今度は僕を真っ直ぐに見てきた
思わず身が引き締まり、冷や汗が流れる
「家主はいないのね…ハハッ…そんなに身構えないでくださいよ」
さっきとはまるで違う自嘲気味な笑い
「別に逃げようと思ってませんよ。貴方の上司のおかげで」
僕の上司のおかげ？
「この服、私のではありませんよ。シャツの柄を見るに貴方の上司のストーカー男ですね」
彼女の言う通り、確かに彼女のきているものは太宰さんのものだ
敦「ストーカー男って…？」
「太宰、太宰治。貴方の上司ですよね？私に盗聴器を仕掛け、街の道で私を待ち伏せ、私の通っていた学校を突き止めたストーカー男」
再び笑った彼女はやはり、さっきとは笑い方が違った
まるで腹立たしいとでもいうような笑み
敦「あの、すみませんでした…」
思わず上司の失態を謝る
これを知ったら国木田さんは怒るだろうな
「貴方が謝る必要なんてないですよ。そのうち、太宰さんに土下座でもしてもらおうと思っているので」
駄目だどうしたって黒い笑顔しか出てこない…
敦「手塚さん…は」
「“さん”だなんていりませんよ。貴方のほうが年上ですし」
敦「それじゃあ、Aちゃんで」
A「はい」
話していくうち、だんだん彼女が僕等と変わらないことに気付いた
初対面でこそアレだったが、こうして話してみると年相応の女の子だ
A「中島敦…確か人虎でしたよね？龍兄の探している」
敦「・・・」
A「睨まないでくださいよ。私は別に人虎になんか興味ないですから。私が興味あるのは白いライオン…つまり私が異能力を使った時の貴方の姿」
いつのまにか近づいていたAちゃんの手が頬を撫でる
突然の事に心臓がバクバクと高鳴った
「お取り込み中失礼。ここは私の部屋だよ？２人とも」
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櫻色華伝(プロフ) - うそ・・・・。結末に驚きました。夢主ちゃん、ヤバすぎる。こんな物語を書けるなんてすごいです。これからも頑張ってください！ (2020年2月20日 14時) (
レス) id: 4986846a43 (このIDを非表示/違反報告)
フィリア(プロフ) - この結末は予想外でした。主人公ちゃん、恐るべし (2019年4月14日 22時) (レス) id: 0a8f72cd40 (このIDを非表示/違反報告)
夢ウサギ(プロフ) - 続きが気になります！続編作って欲しいぐらいです！！これからも、素敵な物語を書いてください！ (2017年9月15日 2時) (レス) id: f9a036fba6 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼（オツキミ）(プロフ) - 続きがものすごく気になります！これからも、頑張ってください！ (2017年7月24日 21時) (レス) id: 12832b6b45 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 三歩止さん» 成る程、理解力が無くて申し訳無いです。更新頑張ってください！ (2017年4月29日 23時) (レス) id: 8f8a6b3fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：武蔵野 三歩止（ﾑｻｼﾉ ﾐﾎﾄ） | 作者ホームページ：なし
作成日時：2017年3月29日 16時
