静かなる躍動１ ページ9
何となくの勘で、少女扱いされていたことを看破した私は、無事にレディへと昇格した。
────昇格した瞬間に、ディナーの誘いを初めて受けた。彼の中の線引きが実に分かりやすいところである。
この年になっても色気より食い気。
お洒落なランチやディナーに出掛けるくらいなら、大勢のポケモンと一緒にご飯を楽しむ方がいい。
そんな態度ばかり貫き通してきた私だから、まるでデートのような食事に誘われることなど人生で初めてのことであった。
誘われたお店は、自分一人なら一生縁が無いと断言できるほど、見た目からして高級そうな店構えをしていた。
きっと、彼が引く手数多の有名人だから、個室も当たり前に用意されているような小洒落た所でなければ満足に楽しめないのだろう。
頭ではそう理解していても、まるで酒も飲めぬ子供が無理やり付いてきたかのような、ある意味で見た目相応の場違いな雰囲気をひしひしと感じる。
手慣れた仕草で、気品に満ち溢れる店員の、何とも輝かしいことだろう。
それを当たり前のようにさらりと受け流す目の前の男の、何とも大人びたことだろう。
────その傍らで、およそ21年の軌跡を辿っておきながら、蛇に睨まれたカエルのように縮こまる私は、あまりに情けない女だった。
「こちらのお席へどうぞ」
(うわ、部屋がとんでもなく広い……！)
先を歩く店員の背中を追いかけて、店の奥側へと辿り着けば、そこに用意されていたのは一層煌びやかな内装が施された個室だった。
部屋の丁度真ん中近くに置かれた、四人で分けても余りある程の広々としたテーブルと、その客席すらこじんまりとして見えるぐらいには余裕のある空間が、私達二人を出迎えてくれる。
優雅なエスコートに導かれて、私は用意された席へと為すがままに腰掛けた。
ふわふわと柔らかなクッションは心地よく、少しだけ気持ちが落ち着いていくのが分かる。
扉の閉まる音で、案内してくれた店員が席を外したのを確認すると、向かいに座った男が徐に口を開いた。
「悪いな、急にこんな所に連れて来たりして」
「いえ、私の方こそ、お恥ずかしい限りです……慣れてないのがバレバレですよね」
「ガチガチだもんな、A」
カラカラと笑う様子はとても清々しく、不快さは感じない。
馬鹿にしているわけではなく、単純に楽しんでいるだけのようである。
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藤川秋(プロフ) - ゆゆゆん@VIIさん» あけましておめでとうございます、いつも応援ありがとうございます！今年も更新頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2021年1月4日 16時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆん@VII - しゅきぴぴぴ…キバナさんオゴありがとうございます… 主様のペース投稿頑張ってください！ 応援しています！！ ps:明けましておめでとうございます！今年も主様にお供させていただきます！ (2021年1月3日 1時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
田中@VII - うぽつです！！ やっぱりおもしろいいぃ 続き気になるうぅ 応援してますぅ！ (2020年11月30日 23時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - 田中@VIIさん» 田中@VIIさん、ご丁寧にコメント下さりありがとうございます！とても励みになります……！更新緩めで申し訳ないですが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2020年11月20日 21時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
田中@VII - 好きです。 更新頑張ってください！ (2020年11月20日 16時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年10月26日 17時
