静かなる躍動６ ページ14
チャンピオン・ダンデの経歴は凄まじい。
無敵のダンデの名称が指し示す通り、10歳の頃に初めてジムチャレンジに推薦されてから、そのまま彼はリーグチャンピオンとなり、公式戦においては無敗の実力を誇るという。
キバナさんも既に10回に渡って負け越しているらしく、彼にまつわるエピソードの一端を耳にするだけで、王座を手にし続けられるだけの力強さが備わっているのだと理解することができる。
実際、彼のその姿は思わず目を見張るほどに眩しく、華やかで、誰よりも鮮やかだ。大勢の人々が彼に熱狂してしまう気持ちも分からないではない。
まるで、物事の中心に立つ主人公のような存在。清々しいほどにはっきりとしたスター性。それが、チャンピオンとして公の場に立つ彼の印象である。
だが、主人公とて、いつかは公の舞台から退く時が来る。
ある者は、その時が一分一秒でも長く先に延ばされるように願い、またある者は、時代が移り変わる瞬間を今か今かと待ち侘びている。
一人の男の宿願が果たされることを祈る私は、どちらかと言えば後者に当たる人間なのだろう。
────しかしながら、私の目の前に広がる光景は、そうした意味では望んでいない結末となってしまった。
(結局、ダンデさんに挑むのはキバナさんじゃなくて……マサルくんだった)
その景色を、冷たい液晶越しにしか望む事のできない自分に、少しばかり恨めしい気持ちが募る。
彼の勇姿を見届けたいと正攻法で臨んだチケットの争奪戦は、見事敗戦に終わってしまったのだ。
彼が夢を掴もうとそうでまいと、直接見届けるつもりでいた私の想いが届く事は残念ながら無く、それがどうにも悔しい。
数多の挑戦者を下し、チャンピオンへの挑戦権を掴み取ったのは、まだ少しばかり幼さが残る風貌の少年だ。
その姿が、歩みが、どこかダンデさんと重なって見える気がするのは、今や無敗を誇るその男の残した軌跡が、彼の辿る道とあまりに似通っているからに他ならない。
バトルそのものを楽しみながらも、どこか底の知れなかった彼の表情は、まるで冷たい刃のように研ぎ澄まされている。
会場の空気を纏い、流されるのではなく飲み込んで、自らの糧としているような様子さえ見えた。
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藤川秋(プロフ) - ゆゆゆん@VIIさん» あけましておめでとうございます、いつも応援ありがとうございます！今年も更新頑張りますので、よろしくお願い致します。 (2021年1月4日 16時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆん@VII - しゅきぴぴぴ…キバナさんオゴありがとうございます… 主様のペース投稿頑張ってください！ 応援しています！！ ps:明けましておめでとうございます！今年も主様にお供させていただきます！ (2021年1月3日 1時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
田中@VII - うぽつです！！ やっぱりおもしろいいぃ 続き気になるうぅ 応援してますぅ！ (2020年11月30日 23時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - 田中@VIIさん» 田中@VIIさん、ご丁寧にコメント下さりありがとうございます！とても励みになります……！更新緩めで申し訳ないですが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2020年11月20日 21時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
田中@VII - 好きです。 更新頑張ってください！ (2020年11月20日 16時) (レス) id: 9d1fd84ab8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年10月26日 17時
