ゴミ溜めのようなこの世界で、僕らは生きるんだ。1【募集企画】

碧葉＿俺は俺らしく１ ページ16

人間って一体なんなんでしょうか？



俺は“俺”という人間が嫌いです。



俺は物理的ないじめより精神的ないじめにあいました
傷付けられる訳ではなく私物が消えることもなく、
わざとらしい悪口が耳に入ってくるだけでした。
“馬鹿”とか“屑”とか“死んでしまえばええのに”とか



全部、無視をしたんです。全部。
嫌になるほど聞こえてくる悪口も
毎度お世話になる保健医の怪訝な視線も
両親からの静かな圧力も
いじめっ子の嘘を信じて俺に冤罪をかけた教師も



全部無視して、約半年間不登校になりました。
当然、何も知らない両親とは喧嘩が増え、
家の中ですら気を緩めることが出来なくなりました。
息苦しくて夜遅くに外に出る事が増えました。



外に出て気付いたんですよ、すれ違うのは赤の他人です
それでも認識されるのが怖かった、
視線を合わせるのが、見られることが怖かった
他人からの視線に含まれた何かに敏感になりました。



そんな中途半端なまま、
堪忍袋の緒が切れた両親に連れられ学校へ行きました
半年も空いたんです、なのに悪口は消えなかった
それよりか中途半端に逃げたせいで悪化しました。
教室の中に入るのが、皆の視線が、苦痛でした



窮屈な学校生活を送る中で友達なんか出来なくて
それでも少しでも苦痛から抜け出したくて
何も知らない級友に慣れた笑顔で取り繕いました。
少しでも空気に馴染めるように、皆の輪に入れるように
睡眠時間を削ってまで話題を探しました。
最近の流行りとか皆が好きな物を徹底的に調べました。



偽りの笑顔を浮かべて、皆に話を合わせて
最近は少しだけ悪口が減ったような気がします。
それでも“それ”は“俺”じゃない気がして
“俺”は一体なんなのかを延々と考えたりして
結局は何も分からず白紙に近い１日を終えます。



心から笑うことなんて出来なくなりました。
泣くことも出来なくなりました
“俺”の平穏と引き換えに俺の何かが失われていきます
毎日、毎日、何かが欠落していって、
『いつか俺は空気のように消えてしまうんじゃないか』
違和感を消しきれずに今日も偽りの笑顔を浮かべます。



「大丈夫。」じゃないんです。
「心配しなくても平気。」じゃないんです。
誰かに助けてほしくても誰も気付いてくれないんです。
皆が皆、俺には敵に見える、“俺”すらも



“俺”は一体誰なんでしょうか
俺は俺らしくありたいのに“俺”は俺じゃない



人間ってなんなんでしょうか？

輝夜＿信じたいけど 1→←久遠＿生きる意味を見つけたい 3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す