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Aside
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始業式の日から3日が経って、授業も始まった。
北山くんは体を横に向けて、授業中もいつも私に話しかけてくる。
両隣がガリ勉くんとガリ勉さんだから、私が標的になるのも仕方がないらしい……
「先生こっち見てるよ?」
化学基礎の時間。
前を向きなさい!とでも言いたそうな眼をしてるおじちゃん先生。
「ん?あー見てない見てない」
「ひゃくぱー見てるよ?」
「ふっwお前真面目かよ」
「真面目ですけど〜」
「ぜってーうそじゃんw」
………しまった。
授業だとか忘れてついつい喋ってしまった。
しーーーんとした教室内の視線は必然的に私達に集まっている。
「お前らなぁ人が注意しないからってベラベラ……」
しまったしまった。
ついに怒らせてしまった。
………北山くんのせいだからね?
そんな気持ちを込めて彼を見ると、任せろ!と言わんばかりのドヤ顔が返ってきた。
…なにするの
「すいませんでしたもうしません」
突然立ち上がって、深々とお辞儀するもんだからクラスのみんなが笑って先生はおとぼけ顔
「ぜーーんぶ俺が悪いんで謝ったんすけど…」
「わ、わかったならいいぞ。座りなさい」
すご。
ドヤ顔、納得。
大人しく座った北山くんの背中に思い切って指を触れさせると、優しく振り返る。
「あ、ありがとう」
「男たるものこんなもんじゃね?w」
この時初めてかっこいいなあって思ったのかもしれない。
私のこの恋は思ってたよりずっと前から始まっていたのかもしれない。
でもこの時は、北山くんを恋愛対象として見ることさえ考えつかなかったよね……。
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作者名:KiNG | 作成日時:2016年11月3日 22時