すべては全部、キミだった ２

もう戻れない ページ16

夏休みのある夜



健永が病院に運ばれた


いつも通り、ご飯を食べて
家族みんなでテレビを見ているとき
健永が発作を起こしたんだ




治まらなくて、結局救急車





これ以上、自宅は
負担が大きいということで
しばらく入院になった





暗い顔の健永


病室には俺と健永の２人しか
いなかった



千「.....たかしぃ、ごめん」

二「気にすんなって」

千「お父さんとお母さんにも
　 迷惑かけちゃって....」




イライラする


俺たちは健永と一緒に
いたいから、全然迷惑なんかじゃ
ないのに



なんで健永にはそれが
伝わらないんだ


千「俺、いないほうがぁ....」

二「いいかげんにしろよっ！！！」




怒鳴ってしまった



健永の肩が
小さく震えている



こんなことが
言いたいんじゃない


でも、溢れだした
気持ちは止められなかった



健永が傷つくような
ことばっかり言っている俺




最低だ






二「俺がこんだけ心配してんのに
　 そんなこと言われんならもう二度と
　 こねぇからなっ！！」




あ、終わった.......





千「高嗣だって.....」

二「なんだよ」

千「高嗣だって！！....俺の苦しみなんか
　 一ミリもわかんないくせにっ！！
　 毎日毎日薬飲んで、いつ死ぬかもわからない
　 恐怖と戦って、そんな気持ち高嗣にわかる！？
　 ははっ、わかるわけないよね！！
　 わかろうともしてないんだから！！」

二「健永.....」

千「もう帰ってよ.....」

二「健永っ....ごめんっ....」



いまこの手を離しちゃいけない



離したら、もう戻れないんだっ....



なのに、その手を離したのは
健永のほうだった




千「もう顔もみたくないっ！！
　 もう二度とこないでっ！！
　 高嗣なんか....大っ嫌いっ！！！」




枕を投げつけられた




痛くはない


けど、いつもよりも重く感じた枕



まるで健永の想いが
そのまま俺に投げつけられた
ようだった




病室を出た俺は
泣きながら家に帰った

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