すべては全部、キミだった ２

十分幸せ ページ13

なんて声をかけていいか
わからなかった


気が付いたら
父さんと母さんは家に中に
戻っていた



二「.......」



『大丈夫』


って言葉は
死の恐怖も知らない俺が
口にしてしまうのは可笑しい


健永からしたら
全然大丈夫なんかじゃないんだ



『守るから』


って、約束したのに
結局なんにもできなくて



手術するって決まったものの
まだ半年以上先の事


それまで薬で繋ぐとは言ったものの
いつその時がくるかなんて
誰にもわからない



10分後かもしれないし

1時間後かもしれないし


明日かもしれない



だからこそ、健永には
毎日笑っていてほしいんだ





なんて声をかけたら....





千「死ぬのっ....怖くないんだっ....」




え？



死ぬのが.....怖くない？



千「いままで何度もそんなの
　 経験してきたし。
　 でも、高嗣と一緒にいられなくなるのが
　 一番怖いんだっ......」




震える健永の手を
強く握った



もう離さない

離れない



二「健永が死んじゃった時
　 俺も自分の心を殺すよ」

千「心を....殺すっ....」

二「うん。
　 この先、誰も愛さない。
　 ってゆうか、誰も愛せないから」

千「そんなのダメっ....。
　 高嗣は幸せにならないとっ....」

二「いまもう十分幸せなんだっ.....」




無言で線香花火に火をつける


健永が手にしたのは
最後の一本だった

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