for you, with you<ジョジョ4部> (ページ10)

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10話ページ10

『仗助くん達遅いね』

「そう、だね」

屋上に着いたものはよいが、仗助と億泰が来る様子はまだない

康一は数メートル離れたところに座っている

『さっきからどうしたの？何か怯えているみたいだけど』

「えっと……」

「ちょっといいかしら」

凛とした声に顔を上げると、綺麗な顔立ちと髪をした女の人が目の前に立っていた

風になびいた黒髪が太陽光を浴び、キラキラと光っている

「ゆ、由花子さん！！」

サァッと康一くんの顔色が真っ青になり、焦った声が屋上に響く

これがさっき話題になっていた人か、とボーっと見ていると睨みつけられる

「さっきから見ていれば、あなた康一くんに馴れ馴れしくし過ぎなんじゃあないの」

『あの……』

フンッと鼻息を立て、睨みつける目を緩めようとはしなかった

「由花子さん！Aさんは友達で……」

「康一くんは黙って！！」

大声を出すと、由花子は怒りを露わにした

それと同時に髪の毛が生きているかのようにうねりはじめる

『お、怒らせてしまったのならすみません……でも、そんな態度を取る必要、ないんじゃあ……ないですか』

「は？」

冷たい返答に体が震えるが、ゆっくりと立ち上がる

スカートの裾を掴み、震えを誤魔化そうとする

『い、威圧的な態度を取り、相手を萎縮させ、自分を優位に立たせる……それは、話し合いをする上でやっては、いけないこと、です』

昔、自分を苦しめていた大人たちが頭を過り、涙が出そうになる

でも、今は違う

ゆっくり、自分の伝えたい言葉を紡ぐ

『普通に、お話しましょう……私、由花子さんに、敵意はないし、お話、したい……仲良く、なりたいです』