メビウスの糸――。【キミガシネ】

捕らわれた人形 ページ19

愛情人形 デア、只今捕まっております。

「てかなんでこうなったんだっけ?」

「お前が盗み聞きなんかしてるからだろ!」

私が不思議そうに言えば、呆れたようにジョーがそう返してきた。

ああ、そうか。あんな時にこけるなんて、あたしってばドジっ子☆

「さて、何で盗み聞きなんてしてたのかな?」
安定の首痛ポーズで聞いてくるは、ケイジ。

「人が集まってたら気にならない?本能的に」

「はぐらかしてない?」

「ホントだって!気になっただけなの!!…だから早く解放して!!
　無理でもせめてこの人と同じ扱いをするのだけはやめて!!」

そう言って僅かにじたばたと暴れれば、すぐ隣から「なによその言い方!?」とツッコミが
入ってきた。

ちらっと隣を見ると、そこには派手な頭をした男性が縄で縛られて座っていた。

八分雨ありす。こんな所に居たのか。そう言えば、酒場はちゃんと中まで見てなかった。

じゃあ後はナオだけか。早いとこ解放してもらって…

「悪いけど、逃がさないよ」

ケイジがほくそ笑みながら言い放った。

「ええ…?あ、ねえ。良いの?このままだったら、ホエミーがぶちギレて殺されちゃうかもよ!?」

「それはないでしょう。 彼女は先程私が殴り倒しましたので」

カイがそう言うと、「じゃあ戻って来ないんですか?」とカンナがすかさず聞く。

「…ああ、失礼しました。正確には倒してはいません。ですが、かなり出血しておりましたので、暫く戻って来ないのではないでしょうか」

おたまを口元に当てながらそう言い直した。

「で、でも…ほら!!他にも仲間がいるんだよ!?」

「だが、このフロアにはおりて来ないんじゃないのか?…自己紹介の時、ホエミーは"このフロアで皆様をサポートする人形"だと言っていた…つまり、他の奴らはここには来ない」

推理めいた考えを披露するサラ。…かっこいい、好き!…じゃなかった、えっと…

「分かんないよ!来るかもだよ!? 」

我ながら落ち着きが無いと思いつつそう言うと、何処からか「はぁ」とため息が聞こえた。

え、なんか傷付くんですけど。

「なあ、もういいだろ?さっさとコイツに話を聞こうぜ」

レコがそう言うと、「そうだ。俺の相手をしろ。縄をほどけ!!」とアリスがそれに乗っかった。

それもそうだな、みたいなノリで皆の視線はアリスに注がれ始めた。

「え、ちょっと待ってよ。ボクは?」

「良いから、黙ってろワン!!」

「…はーい」

小学生に黙らされる私って、一体…

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