さいあいのひと (fmkn) (ページ21)

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(kn)

もう、溢れてしまう。

そう思ったから、離れた。

当たり前になった、いつもの夜。

食事を済ませたあと、松島と仲良く話しながら少しだけ甘いココアを飲んだ。

インスタントでも甘さは変わらなくて、それに少しだけ気分が上がったのかもしれない。

気がつけば、目の前にいる相手に、自分の抑えられない感情を吐き出していた。

「だから、菊池のこと嫌いだとかそういうのじゃなくて……なんか、もうさ、どうしようもないってなってんの」

すき、

が直接伝わらないように言うのは結構難しくて、でも普段から菊池と仲のいい松島なら分かるだろうって何となく思った。

「そっかあ。けんてぃーつらかったね」

案の定優しく笑う彼は一体どれくらい俺の気持ちを知っているのか。
菊池のことも。

「ココア、もっと飲む？」

もういいやって意思表示、首を振れば、寝巻きをゆらゆらさせて前の席から隣に移動してくる。

「けんてぃー」

「なあに」

「俺ね、思うことがあるの」

「なあに」

菊池のこと、俺より、もっと、知ってるって？

「……もぉ、けんてぃー、泣かないでよ」

そう、ごめん。

菊池を想って酷いことを考える自分が、惨めで、とても醜い。

止まらない涙が情けなくて、でもそれを拭ってくれる松島がふわふわ困ったように笑っているのを見て、涙がもっと溢れてきた。