崩壊した世界で生きる為

gear7 ページ7

鬼子というものが、どのような存在なのかをレウさんが教えてくれた。

「世界に生きた30人のうちたった1人『選ばれた鬼子』という存在がいるんだ。鬼子は、特に普通の能力者と変わりはないけど、ひとつだけ違うことがあるんだ。それは、死んだ人を喰らうことが出来てそれを自分のものとすることが出来るんだ。能力者を喰らえば、その能力者の能力を取り込むことも出来るんだ。そしてそのかわり、鬼子は死んだ人しか喰らうことが出来ない。普通の食べ物も飲み物も何も食べれない。そういう存在が鬼子……つまり君だ」

……私が鬼子？分からない、どうして私が？

どこを見たら鬼子だって分かったのだろう、いつから知っていたのだろう。

どうして、教えてくれなかったの…？

心を呼んだきょーさんが答える。

「君と会った時からだ、鬼子は、歯が鬼のような牙が生えてるんや。そこの鏡を見てみ」

鏡を見る。

なんの変わりの無いように見えたが、たしかに牙が生えていた。

な、なんで…私普通の人間なはずなのに。

能力のせい？鬼子という能力を与えられたせい？

なんで私なの…人なんか食べたくない。

普通の美味しい食べ物が食べたい、飲み物が飲みたい。

なんでみんなの能力は普通なのに私だけこうなったの？

みんなが私の名前を呼んだり、私を揺すったりするけど正気に戻れない。

それどころか、うるさく思う。

私はみんなを振り切った。

変に手ごたえを感じて、手をみた。

長くのびる赤い爪が鋭く輝いて生えていた。

顔を上げると、緑さんの頰に擦り傷ができていて、血が伝っていた。

私は正気を失ってしまったと思う。

気がついたら、さっきの部屋に戻ってただただ泣きじゃくっていた。

側には、傷だらけのきょーさんがずっと居てくれた。

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