calm time ページ33
まだ大丈夫、と何の根拠もなしにタオルケットにくるまる雅人さんを鼓舞して毛布を引っ張り出した、秋口。
温もりに埋めていた額が、体を動かしたせいでひんやりと室温を感じさせる。
余り働かない頭と、薄暗い天井。
今日は休日であると理解するに幾ばくか時間を要したと共に、冷え切った足先にようやく気付く。
「……A、…?」
いくら彼の身体にすり寄っても、薄い布地からはみ出ていた爪先は氷みたく熱を失っている。
それが心地よかった季節は過ぎたのだと思い知らされた。
「ごめんなさい、起こしました?」
土曜、午前6時頃。
普段の学校であれば起床に丁度いい頃合いだが、雅人さんの腕の中で眠りについたのは日付をまたいで随分回っていたから、どうも頭はすっきりしない。
余韻が抜けないまま、上だけと着せてもらった大きいトレーナーは太ももまで隠してくれるけれど、
タオルケット1枚からはみでた足先のせいで鼻を啜った。
「…今、何時」
うざったそうに、目を瞑ったまま髪をかき上げる雅人さん。
見上げた時計はもう少しだけ、甘やかしてくれるみたい。
「まだ、6時」
もう6時というには、甘い時間をもらった後の私にとってはちょびっとだけ言葉が違った。
「もうちょい、寝る…。」
頬を撫でたくて伸ばした手を引き寄せられるものだから、返事もそこそこに足元に溜まっていた毛布をたぐり寄せ寝ころぶ。
「…毛布、出しててよかったでしょ?」
「…そーだな」
よほど眠たいのだろう、先ほどから一度も瞼は開かないが返事はしてくれる。
ほとほと優しい人だ、と思いながら、当然の様にこちらへ横向きに寝ていた雅人さんへ潜り込む。
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み(プロフ) - かるぴさん» 最後までお読みくださり、またこんなに心温まるコメまでありがとうございます…!!そう仰っていただけてとても嬉しく、執筆してよかったと救われました💕こちらこそありがとうございました💕🐕🎀 (9月20日 15時) (レス) id: c444dbe51c (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - とても面白かったです…!!ついつい最後は泣いちゃうくらい大好きです……!こんな神みたいな作品生み出してくださってありがとうございます😿😿! (9月15日 8時) (レス) @page48 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - ペネロッペさん» コメントありがとうございます!!こんなにもお褒め頂けてとても光栄です、こちらこそありがとうございます✨ (2023年3月7日 16時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 完結、おめでとうございます!! とてもとても大好きな小説が完結して嬉しい気持ちとどこか寂しい気持ちがごった返しですが、、、無事、完結という形で終わっていただいた作者様にもう一度、感謝を述べます!ありがとうございました!! (2023年3月6日 15時) (レス) @page48 id: 42dc98278a (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 亜紫さん» お優しいお言葉ありがとうございます…!!とっても嬉しいです😍他作品も含めお楽しみ頂けます様頑張ります!😊🎁 (2023年2月20日 8時) (レス) id: b66859cee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:み | 作成日時:2022年1月25日 15時