24話 ページ25
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「礼？」
「お前がいなかったら、そいつは間違いなく組織の連中に捕まってた。あの二人組がお前に対応する時間で、俺が間に合った。その礼だ」
そいつ、のところで彼がソファで眠る青年の方を見る。その表情は大分穏やかになっていて、とても彼が人間でないようには見えなかった。
「……彼は、どうして狙われているんですか？」
ぽつりと口にした疑問で、彼は始めて少しだけ瞳を揺らがせた。それは、と言って、一瞬黙って、再び口を開く。
「基本的に、この世界での人間もどきの扱いは酷いものだ。人間からは化け物として忌み嫌われ、恐れられ差別されて、異種族からは半端物、血を穢すもの、存在を愚弄する下等生物とされて迫害の対象になる。ヒトと、ヒトならざるもの。そのどちらとも言えない人間もどきは、生きているだけで人間以下というレッテルを貼られ、犯罪をしていなくとも存在が罪とされる。用は＿＿モノと同等、どころかモノ以下とされていて、人権はない」
衝撃的な人間もどきについの扱いに戦慄しながら、「じゃあ、この方は＿＿」と言うと、
「まぁ、有り体に言えばあの二人組は人間もどき専門の人身売買業者＿＿“幸せの家”の奴らだ。……こいつ、きんときは人間もどきの中でも珍しい存在の吸血鬼だから、売買といっても貸し借り、つまり＿＿言い方はとても悪いが＿＿レンタル品だったらしいけど」
「それじゃ、彼が牢屋にいたのは……？」
「あの牢屋は死刑囚専用の牢屋だ。ここ数年この国では死刑にギロチンが使われているんだが＿＿血抜き係だろうな」
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
