23話 ページ24
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全身の血を抜かれて死ぬイメージをしてしまい、ぞわっと背筋になにかが走る。
「め＿＿」
「め？」
「めちゃくちゃ危険なのではないですか＿＿！？」
「そうだよ。だから、皆驚く。魔法も使えない、力も強くなさそうなお前がどうやってこいつから逃げたのかってな。」
青年はこともなげに言うが、私は改めて冷や汗をかいてしまった。そんな私に、追い打ちがかけられる。
「そして、闇の巫女は人間もどきを制御する力を持っていた」
「へ？」
「どんな存在の人間もどきでも、彼女の言う言葉には頭を垂れて従ったらしい」
「……なんと、まぁ」
「多分お前が牢屋に入れられたのは、お前が本当に闇の巫女かどうかを確認するためだったんだろう。生き残れば力は本物だし、死んだら闇の巫女なんていなかった、で終わる」
合理的といえば合理的……かもしれない。倫理はないが。
「そして、お前は偶然か何かは知らないが生き残った。生き残って、こいつと一緒にあの牢屋から出た。成り行きだったのかもしれないが、まぁ……そりゃ闇の巫女が現れたってことになって混乱が起こるだろうな」
「だから、指名手配……？」
「そう。闇の巫女は邪竜と並んで世界中が最も恐れる存在だからな。指名手配どころか出会った瞬間殺されてもおかしくない」
淡々と言われた衝撃的な言葉の数々を飲み込むまで、しばらく時間がかかった。次いで、頭を抱える。……とばっちりがすぎる。一体何だってんだろうか。本当に私が何をしたというのか。
何でもいいからその辺のものを投げて八つ当たりがしたい気分になったのをなんとか押さえて、それじゃあ、と新たに浮かんだ疑問を口にする。
「あの……あなたはどうしてこんなに親切にしてくださるんですか？ あなたの言うことが本当なら、私はその、闇のなんとやら、ということになってしまうんですけど……そんな私に、何故？」
言った後に、あ、いやもちろん自分は全然そんなことはないと思っているというか思いたいんですけど、と付け足せば、彼は特に表情を変えることもなく、「強いて言えば礼だ」と言った。
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
