2話 ページ3
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美少女は、まるで授業中であるかのように高く手を挙げて、堂々とまっすぐに老人を見つめていた。
対する私は、レーゲル？ 国王？ 何それなにかのドラマのキャラ？ とちんぷんかんぷんだ。目を白黒させる私に、しかしレーゲル国王陛下と呼ばれた老人は、驚いた顔で美少女の方を見た。
「_____儂の名を知っておるのか？」
「はい、国王陛下。発言のご無礼をお許しください。ですが、私こそがこの国を＿＿いいえ、この世界を守るために使わされた、異世界より予言を賜った聖女＿＿光の巫女にございます」
美少女は立ち上がり、おそらくば学校の制服なのだろう短いチェック柄のスカートの裾をつまむと、まるでどこかの国の王侯貴族のように優雅に礼をした。その綺麗な所作を見た周りの黒服たちから、おおっ、というざわめきが漏れる。皆感動したように美少女を見つめていた。
一方私は何が何だかさっぱりわからずにぽかんと彼女を見つめていた。美少女は、予言がどうとか今日の天気がどうとか女王陛下の病気がどうとか、よくわからないことをしばらく話していたのだが、最後にふと私の方を指さした。
「_______そして、恐れながら国王陛下。今あそこに転がっている人間こそが、邪竜がこの世界に顕現するための器となる人間。
_______今この世界にとって最も危険な、闇の使者にございます_______！！」
高らかに響いた、やけに芝居がかった美少女の声に、場の空気が変わった。
しんとした世界で、怯えるような、そして何か得体の知れないものでも見つめるかのような視線が私に突き刺さる。急になんだ、怖すぎる。
_____器？ 邪竜？ これ何のドラマ？ 今期にそんなファンタジーな単語が出てくるやつやってたっけ？ それとも来年放送予定のやつとか？ でも私、なんてことない普通の大学生なんだけれども。女優でも何でもないのだけれど。
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
