15話 ページ16
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「……あ、の……！ だ、大丈夫ですか？ わかりますか？」
ごく小さく声をかける。しかし、案の定反応はない。
微かに胸は上下しているので、生きてはいると思うけれど、どうしようもなかった。もしかしたら鍵のありかを知っていやしないかと声をかけたが、冷静に考えるとそんなことはないはずだった。だって、先ほどの会話を聞いていたら、多分この人も連れ去られてきたのだから。
やっぱりこれ、詰んでる。そう思って、絞り出したなけなしの勇気が再びしぼむのを感じていた、その時だった。
「＿＿やぁお嬢さん。よく眠れましたか？ どうも薬の効き目が悪かったようで」
穏やかな声に、心臓が跳ね上がる。
一気に冷や汗が出てきて、身体が上手く言うことをきかなくなる。しかし、振り返らないわけにもいかなかった。ギギ、と、まるでロボットのような緩慢な動きで振り返れば、そこには琥珀の瞳で不気味に微笑む金髪の青年＿＿多分、きりやんという人の見た目の、ロギアスという名前の人がいた。
彼は、まるでこれからコンサートにでも行くかのように楽しそうな、そして穏やかな微笑みのまま、
「申し訳ありませんでした。しかし、ご安心下さい。直ぐに心地良い眠りを提供しますよ。もしかしたら、あなたの言うチキュウとやらの夢が見られるかもしれません」
そう言って、いつのまにか傍らに控えていた、瑠璃色の瞳の＿＿こちらも多分、ぶるーくという人の見た目をしたロムルスという人に向かってうなずいた。すると、心得たとばかりに彼が手にした何かを私に向かって突きつける。
「あばよ、嬢ちゃん。異世界とやらに送ってやるよ」
まっすぐに私を捉えた銃口が見えて、その引き金に指がかかるのが見えて。
そして、耳をつんざく轟音と共に、私の頭に痛みが走った。
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
