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『おわぁ、初めてきたあ。な、豹馬。』
千切「結局いるのかおまえ……」
『豹馬がいるとこには俺がいると思わなくちゃ。』
微妙に迷惑そうな顔をする千切に、相も変わらず表情を崩さずに言い切るA。建物を見上げていたAが辺りをぐるりと見渡した。
『あ、あ、豹馬、おれあいつ知ってんわ。あれ、涼介、…吉良!』
千切「なんで逆にした」
何やら黒髪と一緒にいる吉良涼介。日本サッカーの宝と呼ばれているサッカーの才能に溢れた天才、らしいが、Aには常に千切しか映っていないのでいつもテレビで見かける度、豹馬のがかっけーな、と少し得意げに語るので、Aの中では印象に残っていたらしい。
『おれちょっと構いに行こっかな』
千切「離れるのか?」
『んは、冗談。豹馬だけ』
千切より背の低いAが千切の顔を覗く。綺麗な髪だな、なんて。ああ今日もおれの姫様かっけーな、本人に言ったら怒られるだろうけど。
『つか人多すぎ、無理なんだが』
千切「今からでも帰れよ」
『やだね。豹馬が誰かに触られるのとかガチ無理だわ』
千切は少し短いため息をつく。頼むから周りをそう睨むな。目立つだろうが、という意を込めて、千切はAの頭を軽く叩いた。
千切「やめろ」
『ん』
大人しくなった番犬を連れて、千切は会場に足を踏み入れた。
───────
────
『一、二、三……やば、何人居んだこれ。』
会場はたくさんの人で溢れていた。どこを見渡してもヒト、ひと、人。千切を気遣いながら、Aは少し背伸びをする。と、
「えー、あー、あーあー…」
『おっ』
「おめでとう、才能の原石共よ。」
『喋った』
舞台に立ったメガネがそう言った。
「お前らは俺の独断と偏見で選ばれた、優秀な18歳以下のストライカー、300名です。
そして俺は、絵心甚八。
日本を、W杯優勝させるために雇われた人間だ。」
『しらね、誰だ』
千切「おまえちょっと黙れ」
千切に言われ、Aはぴたりと動きを止め、そして口も閉じる。絵心はそんなAに一瞥もよこさず話を続ける。
絵心「単刀直入に言おう、日本サッカーが世界一になるために必要なのはただ一つ、
革命的なストライカーの誕生です」
表情一つ動かさず、呼吸をも忘れたかのようにAは黙りこくる。その視線は確かに千切に向いていて。
『……。』
静かに、千切の身を案じていた。
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ケチャ(プロフ) - すごくすごく好みの設定です、、続きをお恵みください、、、 (2023年3月20日 0時) (レス) id: 8a74eaff38 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん中毒 - コメント失礼します!!めっちゃ面白いです!ちぎりが可愛くて!あとイラストすごい上手ですね!更新楽しみにしています! (2022年12月22日 1時) (レス) @page2 id: c1394c7595 (このIDを非表示/違反報告)
青いG(プロフ) - 私が追い求めていた設定!!!!!!!!!!です!!!!!!!!(歓喜)お嬢の番犬とか最高!!!!!!!!ずっとなりたいと思っていた立ち位置!!!!!!!!夢が叶いましたありがとうございます!!!!!!!!!! (2022年12月21日 8時) (レス) @page1 id: 6cae6639c8 (このIDを非表示/違反報告)
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