20話 ページ21
「この船はもう自分のものだとか、思った？」
「…っ！」
シーナは立ち上がった。
図星を突かれ、激しく動揺してしまったのだ。
「…生意気よ！」
大きく手を振りかぶり、Aの頬を目指して振り下ろした。
が、その手がAに届くことはなかった。
「やっと本性を現したな」
「いっ！」
マルコが立ち上がり、シーナの腕を止めていたのだ。
周りの隊長格たちも、シーナにきつい顔で武器を向けていた。
「お前がAを目の敵にしてることはわかってたよい」
「みんなでわざと持ち上げて、尻尾を出すのを待ってたわけ！証拠もなしに一般人を傷つけるわけにはいかないからね」
ここにいる兄たちは、シーナのAへの嫉妬心に気付いていた。遠巻きで見ている兄たちもみんな。
気付いた上で、Aにわざと冷たくし、シーナが調子にのるのを待っていたのだ。
「さて、うちの掟は知ってるだろう？家族に、Aに手を出す奴は、許さない」
「ひぃっ…！」
「どうしてやろうか、A？」
Aはんーと考えるそぶりをすると、ニッコリと笑った。
「次の島においていこう！」
「………え？」
全員がキョトンとした。
それじゃあ、罰ではないじゃないか。最初から適当な島で降ろすつもりだったんだ。
しかし、マルコだけはピンときたようでニヤリと笑った。
「そうだねぃ。オヤジに報告しとくよい。カンカンだったからな」
「うん、ありがと」
「ちょ、ちょっと待てよ！そんなんでいいのか？」
Aは兄の問いかけにニッコリと笑い、明るい顔をしているシーナを見ていった。
「知らないの？次の島は、未開の地で、狩暮らしの民族だけだよ」
「……え？」
「かなり縄張り意識の強い民族でね。仲間に入れてもらえれば、ご希望通りチヤホヤしてくれるよ、きっと」
「もし、入れてくれれば。だけど」と付け加えたAに、シーナは青ざめた。
しかし問答無用。
マルコに連行されていった。
「Aぇえ！ごめんなぁ！冷たくして！」
「……みんな、鼻の下伸ばして」
必死に謝る兄たち。Aはツーンと目をそらした。
兄たちは何度もごめんを言い、目に涙が浮かび始める。
「じゃあ、許してあげてもいいよ」
「本当か！？」
「次の島で女がいる店に行かないならね！いつも仲間はずれで寂しかったんだから！」
「「「もちろん〜〜！！」」」
デレっとしたいつもの兄たちの顔で、事件は幕を閉じた。
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ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
