太宰さんがマフィアから出て行ってくれない【文スト】

12話 ページ13

「＿＿＿し、心中！？」


廊下を歩いていたら女性の声が聞こえた。


彼女が叫んだ単語に嫌な予感がして走る。


『はあ、はあ、太宰さん……何やってるんですか！！』

「何って、彼女があまりにも美しいから心中に誘っていただけだけど？」

『構成員を心中に誘ってはいけません！行きますよ！』


慌てる美人な構成員さんにぺこりと頭を下げ、太宰さんの腕を掴んで引きずっていく。


「なんでー、なんで誘っちゃいけないのー」

『当たり前です！太宰さん幹部なんですから、変な命令と勘違いされたら困るでしょう！』

「えー」


全く……


最近、太宰さんが妙に明るい。


美人構成員を心中に誘っているのを止めるのはもう20回目くらいだ。


織田作……太宰さんに何言ったの……「良い人間になれ」って言わなかったの？「明るい人間になれ」とか言ったんじゃないの！？


それに、黒の時代には考えられないようなこと、心中の誘いや入水などなど、探偵社での太宰さんに似てきている。


どういうこと？


『兎に角、人を心中に誘ってはいけませんからね！』

「Aちゃん、心中しよう」

『話聞いてました！？』

「聞いてたよ」


この人もう嫌だ。


マフィアのあの、冷酷非道って感じの太宰さんは何処行ったの……
清く明るく元気な自○の太宰さんも好きだけど、マフィアでそれで居られると一寸ねぇ


「あ、もう直ぐ幹部会……パス、Aちゃん遊びに行こう」

『嫌です、幹部会には出てください』

「えー」


子供か、あなたは。


『出てください』

「嫌だ」

『駄目です』

「嫌だ、美味しいもの食べに行こう」

『お断りします、仕事してください』


このやりとり何時迄続くの。


結局、中也さんを呼び『後は任せました』と言って逃げてきた。

13話→←11話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す