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そしてようやく終わったテスト
テストが終われば夏休み
テストの最後の教科の英語が終了するとどたどたと騒がしい足音が聞こえてきた。
もう足音で誰だかわかる。
・・・
あの人だ。
『京治くん!!やっばい!今回のテストめっちゃできた!』
京「お疲れ様」
『ガチで京治くんのおかげ!ありがと!あ、今日部活ないよね。一緒に帰ろ!』
1回落ち着いたら?、ってくらいに大興奮した様子でAは笑った。
最初こそ、そのノリに少しだけ引き気味だったもののもうすっかり慣れた。
Aが軽い足取りで教室を去っていくと後ろの席の山田が俺に近づいてきた。
山「なぁなぁ。赤葦ってAと付き合ってんの?」
京「付き合ってないよ。」
違う意味...つまり、彼女が死ぬまでにしたいことには付き合っているけど。
山「まじかよ!なのにあんなに距離近いのかー!...あ、そういえばAって結構色んな人と噂あるよな。」
色んな人と噂がある、ということを初めて知った。
そして色んな人と距離が近いことに意味もなくなぜかイラついた。
京「知らない。」
思わずぶっきらぼうに言ってしまう。
山「まじで?Aのことだから割と有名だけど。」
そんなの、聞きたくもない。
そう思ったが山田は続けた。
山「3組の石田とかよ。何回かシたことあるって聞いたことあるし。あとー...だれだっけ?」
京「教えてくれなくて大丈夫だから。」
山「?そ?おっけー。」
もやもやと俺の胸の奥で嫌な気持ちが広がる。
まだ、2週間ほどしか一緒にいないのになぜか彼女の”特別”は俺だけだと勝手に思っていた。
でも、そうではないということを山田に知らされたみたいで嫌だ。
別に山田が悪いわけでも今までのAが悪いわけでもない。
...ただ、勝手にAの特別が自分だけだと思い込んでいた”赤葦京治”に腹が立つのだ。
せっかくテストが終わって心が軽いはずなのに。
俺の心は鉛みたいに重くなった。
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作者名:兎月うさぎ | 作成日時:2021年2月19日 22時