ﾟ･*:.｡.契約恋愛.｡.:*･゜ (ページ6)

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週末、約束したオブジェの前に向かうとまだ彼の姿は見当たらない

電光掲示板の時計は『10：52』

ちょびっとだけ早めには着いたけど

少し待つぐらいが私にはベストと思えた

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ショーウインドウに映り込む自分を眺めて

おかしな所がないかしつこいほどチェックしていると

通りの向こうから横断歩道を小走りに渡る彼の姿

翔「Aさ～ん！」

恥ずかしげもなく大きく手を振って

私の名前を呼ぶ

翔「すみませんっ！ちょっと待たせてしまったみたいで！」

A「いえっ！大丈夫です。ちゃんと櫻井さんは時間通りですよ？」

『10：01』を表示する電光掲示板を指さすと

翔「ほんとだ(笑)」

彼は口元を押さえながらふははって笑う

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A「あの……てっきりスーツで来るのかと思ってました。」

翔「普段からスーツは着てませんよ(笑)」

彼はニットの襟元を直すようにキュッと握りしめて

得意気な顔を向けた

A「でも……その組み合わせ……。」

翔「え？おかしい？」

A「……ちょっと……(笑)」

えんじ色のパンツに

マカロンみたいな春らしいボーダーニットは

どこか浮いて見えて

思わず、ぷ…と吹きこぼしそうになる

翔「そんなに可笑しい？」

A「……いえ(笑)」

翔「頑張ってきたのになぁ(笑)」

困ったように眉を下げて笑って

くしゃくしゃって照れたように髪の毛を掻き上げた

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翔「正直、出かけるときはスーツの方が楽なんですけどね？コーディネートなんてしなくていいから。」

A「大丈夫です(笑)不思議と着こなしてるように見えますから！」

翔「え～～～っと、それ……誉めてる……ってことで受け取って大丈夫？」

A「まぁ……そ、ですね(笑)」

ふふって笑うと

それと同じように彼も笑う

初めて会った時の、スーツの堅いイメージしかなかった彼が

可愛い……なんて思えた瞬間だった

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