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雅紀「俺は……Aさんのホンモノの笑顔が見たいって、思うようになってた。」
A「………っ。」
雅紀「愛とか恋とか……一番必要なものなんじゃない？今のAさんに。」
A「帰ります、わたし。」
雅紀「だめだよ、帰さない。朝まで側にいてくれないと、また眠れなくなっちゃうから。」
A「帰りま……。」
背中を向けたAさんを
引き止めるように抱きしめた
小刻みに震える体は、まるで何かに怯えているようで
それを落ち着かせるように
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A「こんなわたしを知っても、好きだと言う相葉さんの気持ちが分かりません。」
雅紀「いいよ、分かんなくても。だって……理屈なんかじゃなくって好きって思っちゃってんだから。」
A「バカ……なんですか？相葉さんは。」
雅紀「もう……バカでもなんでもい……。」
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Aさんの体をコロンとベッドに転がして
逃がさないように
強く、だけど優しく抱きしめた
雅紀「このまま朝までここにいてよ。………。明日も、明後日も、その先もずっと。」
A「……バカすぎです。こんな女なのに……。」
雅紀「バカになるぐらい好きになったんだから、仕方ないでしょ。」
そう言うとAさんは
泣きそうな顔をして笑った
作りものの笑顔じゃなくて
ホンモノの笑顔で
意味もなく、ただクスクス笑いあって
抱き合って朝までの時間を過ごす
ただ穏やかな時間とAさんが隣にいるだけで
それだけで満足だと
このままずっと側にいてくれるものだと
そう思っていた
次の朝までは
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雅紀「Aさん……？」
.
だけどAさんは
そのまま俺の前から姿を消した
空っぽのベッドには
Aさんの体温さえも残さずに――――
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作者名：四葉（よつば）
作成日時：2014年5月3日 16時
