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彼女が現れたのは
その電話からきっちり30分後
スッピンのまま、ハーブパンツにキャミソール
その上に薄手のカーディガンを羽織っただけの格好
それは昼間見たものとはまるで別人のようで
化粧をしていないだけでだいぶ幼く見えていた
.
A「どう、しましたか？急に呼び出されて。」
雅紀「別に……夜中でも本当に来るのか試してみたかっただけ。」
A「そうですか。」
雅紀「来ると……思わなかった。」
A「そうゆう条件で契約しましたからね？」
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また彼女は作り物の笑顔を見せる
だけど
スッピンの、部屋着の彼女にはそれは不似合いで
無理して笑ってるのがバレバレだ
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雅紀「そんな風に……笑わないでよ。」
A「……え？」
雅紀「ニセモノの笑顔なんて作んないでよ。」
A「偽物なんかじゃ……ありません。」
雅紀「可笑しくないのに笑ってたら、ニセモノでしょ？」
言葉を無くした彼女が
口をつぐんだ
彼女を責めたくて呼んだわけじゃないのに
初めて困った顔をした彼女に
ぐらぐらと心が揺れてているのが分かった
.
もっと知りたい
もっと彼女を知りたい
もっと、別の――――
ホンモノの笑顔が見たい
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出会ってから１日足らずで
彼女のことをそんな風に思うようになっていた
.
A「今日はこれから、どうなさいますか？」
雅紀「眠れないから、話し相手にでもなってよ。」
A「話し相手……だけでよろしいんですか？」
雅紀「今日は……ね。Aさんのこと、色々教えてよ。」
A「それは、難しいですね。眠れないのなら、話し相手よりも寝つくまで側についていますから……。」
雅紀「……ん……。」
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綺麗だと思った指先がおでこを、前髪を
そして、まぶたを撫でる
子供をあやすようにもと思えるその仕草に
自然と心が安らいで
Aさんの全てを知らないことがどーでも良くなってきていた
だって、今ここにいるのがホンモノのAさんなんだ
ただ側にいるだけで不安は消えて
何度もおでこを撫でられただけで
うとうとと眠りを誘い始める
不安になることなんて、何もないはずなのに
なにをそんなに俺は
焦っているんだろうか
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作者名：四葉（よつば）
作成日時：2014年5月3日 16時
