ﾟ･*:.｡.契約恋愛.｡.:*･゜ (ページ24)

今日:14 hit、昨日:2 hit、合計:831,364 hit

24. ページ24

.

翔「じゃあ。これで。」

櫻井さんはぺこりと頭を下げて

そのまま私に背中を向けた

たった今まで近かったはずの背中は急に遠く感じて

それを追いかけることも上手く出来ずにいた

.

手の中の契約書はもう

櫻井さんに会う理由にもならない

何の効力もない

ただの紙切れに変わっていた

.

呆気ない

二人の契約の恋愛がこんなにも呆気なく終わるなんて思わなかった

切なさと空しさだけを残して

ほんの短い間の櫻井さんへの恋心に

終止符を打たなければならなかった

.

.

A「嘘つき……。」

.

あなたの心、癒やします

だなんて

大嘘

癒やすどころか、他人に戻らなきゃいけない辛さだけを残しただけじゃない

.

A「バカやろぅ……。」

ただの疑似恋愛なら

恋心なんて抱かせないでよ

A「プロ……失格だろぅ……。」

.

とっくに見えなくなった櫻井さんの背中に

一人、呟く

こんな時でも素直に泣けない自分が

不憫とさえ思えていた

.

失恋の傷は

次の失恋で忘れなきゃならなくなってる

.