ﾟ･*:.｡.契約恋愛.｡.:*･゜ (ページ17)

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その日以来、私は櫻井さんの電話ばかりを待つようになってた

『契約事項の変更を連絡する。』

そう言われてから

もしかしたら契約自体を解除されるかも知れない

私が次の恋を見つければ

必然的に契約自体がいらなくなってしまうのだから

最初から、そんな契約だったんだから

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携帯電話を握りしめて

声を聞きたい――――

だけど、もう会えなくなるかも知れない――――

そんな葛藤ばかりが繰り返されていた

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契約書一枚の関係だけが二人を繋いでる

いつ切れても

おかしくはない関係なんだから

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会いたいのに会いたくないなんてね

そんなの私のワガママだって

ちゃんと分かってる

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櫻井さんのことは

名前と、電話番号と、そして怪しげな職業ってことしか知らない

知ってるのは綺麗すぎるほどの笑顔と

握ったときの大きな手のひらの温かさと

ファッションセンスが若干残念なことと

Aさん

そう呼んでくれる柔らかな声

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独身か既婚者かさえも知らないなんて

そんな人に恋した自分が

バカみたいに思えてしまう

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あんなビラ

見つけるんじゃなかった

あんなさびれた雑居ビル

入るのに尻込みした時点で引き返せばよかった

あんな人

あんな契約

―――――するんじゃなかった

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だけど

あのビラを見つけなければ

契約をしなければ

櫻井さんとは出会うことさえ無かったんだ

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