気まぐれボイジャー【豪炎寺修也】第八章 (ページ21)

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２８７話#　あの時からの本音ページ21

風丸「...お前は、何でそんなに普通なんだよ」

豪炎寺「？」

風丸「Aに...会うんだろ？いくら何年も前の話でも、昔いろいろあったじゃないか。どうしてそんなに平気そうな顔をしてられるんだ」

豪炎寺「...」

風丸「俺、あのことがあってから、高校3年間ずっとお前のこと心配してたのに、でもお前は吹っ切れたように明るく元気だったから、安心してた...ただ、どこか無理してるんじゃないかな、とも思ってた。けどお前は何も話してくれないし」

豪炎寺「風丸...」

風丸「なぁ、教えてくれ。今、ほんとにAに会うことになんの抵抗もないのか？」

Aに会うのは...

完全に平常心ではいられる訳じゃない。

ただ、特に抵抗もないということも事実だ。

豪炎寺「風丸...心配かけて悪かった」

風丸「...」

豪炎寺「でも、俺なら大丈夫だ。高校生になってからAのことは吹っ切れた。それからAのことで苦しんだことは1度もない」

風丸「！」

豪炎寺「Aはあの日、俺のことをはっきりとフッてくれた。だから思い残すことなんて何もなかったんだ」

風丸「豪炎寺...」

豪炎寺「そりゃあ久しぶりに会って驚いたさ。緑川から鬼道と別れたことも聞いて驚いたけど、でも俺にはもう関係ない」

風丸「！」

豪炎寺「いつまでもAのことを引きずっていたらかえってAに迷惑だしな。鬼道と別れた隙を狙いたいとも思わない。俺はもう...吹っ切れているから」

これは本音だった。

昔、Aのことを好きだった頃、俺は確かに彼女に夢中だった。

だけどこれは所詮片想い。

Aに、俺に対する気持ちはなかった。

だから断ってくれたことによって俺も吹っ切れたし、本気で高校生活を楽しむことができた。

ここまで来れた。

風丸「それなら...いいんだけど」

豪炎寺「すまなかったな」

風丸「いや...豪炎寺がそれでいいなら、俺は普通に今日を楽しむよ。俺だってヒロトやAに会うのは楽しみなんだ」

豪炎寺「ああ(微笑)」

風丸「緑川、まだ来ないな」

修也「そのうち来るだろう」

俺たちは気付かなかった。

その時緑川が俺たちのすぐ後ろにいたことを...

緑川「......」