自惚れ ページ26
遠足当日。
ある程度はバスで登り、少しだけ山登りをした。
そして全体で集合写真を撮った後は、自由に遊んでいいと言われた。
とりあえずいつものお茶仲間のママ達とレジャーシートを広げて、草原で遊ぶ子ども達を見守る。
太輔は子ども達に混ざって楽しそうに笑っている。
弥恵先生は近くに立って、ふざけてる子達を注意している。
私なんかもう疲れちゃったのに。
他のママ達もみんな座っている。
話に花が咲いていて、誰も子ども達を見ていない。
何だか申し訳なくなり、弥恵先生のところへ行った。
「今日、晴れて良かったですよね」
私が話しかけると弥恵先生は「ですね」と短く返事をした。
子どものうちの一人が「弥恵先生、あそぼー」と声をかけると弥恵先生は「はいはい」と子ども達のところへ歩いて行く。
ぼんやりと先生達を眺めていると、足にもぞっとした感触。
見ると、バッタがふくらはぎに止まっていた。
「きゃああっ!!」
慌てて足を振るけどなぜかバッタはくっついたまま。
何で?!
触りたくないから手ではらうことも出来ない。
すると太輔が走って来てくれて、私の足からバッタをつまんでくれた。
「あ、ありがとう…」
「すごい悲鳴が聞こえたんで何事かと思いました」
「バッタが足に止まって離れなくて、」
「バッタ、でしたね」
苦笑いの太輔。
う…。
取り乱し過ぎて恥ずかしい。
「…別に、怖いわけじゃないけど」
「ふーん」
何よもう。
「バッタ、可愛いですよね?」
爽やかな笑顔で太輔がバッタを目の前に持ってくるから「ひいっ!」と後退りしてしまう。
太輔がそんな私を見て笑った。
いじわる。
咲がこちらに走ってきた。
「先生ー、バッタ見せて?」
まるで私の娘じゃないかのように嬉々としてバッタを触りたがる咲。
太輔は咲の小さな手のひらにバッタをのせた。
「きれいな緑だねぇ」
咲がそう言うとそんな気もしてくる。
気持ち悪いのに変わりはないけど。
「大人になると虫ってさわれなくなりますね。僕もセミとかだとさわれないです」
「…ありがとう、取ってくれて」
「いーえ」
太輔は微笑むと咲と手を繋いで再びみんなのところへ行ってしまった。
私のこと、いつも気にかけてくれてる気がするのは自惚れかな。
でもくすぐったいこの気持ちは、とても心地良い。
…こんなのは浮気じゃない。
ちょっとときめきを求めてるだけ、だよね…?
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作成日時:2018年12月9日 19時