家族だから ページ1
「今度の休みはどこにいこうか」
夫の光輝くんがベットに座り旅行誌をパラパラとめくった。
「…うん」
「あ、母さんがさ、夫婦岩見に行きたいとか言ってたな」
「お義父さんと?」
「うん。だからみんなで行こうよ」
二人で行ったらいいのに。
…とは言えない。
「Aも温泉でも入ってゆっくりしたいでしょ?」
温泉っていっても、お義母さんと一緒に入るから落ち着かないのに。
光輝くんは、私がこの家で居心地の悪さを感じていることに気づいていない。
たまには家族3人でゆっくり旅行したい。
私は夫の光輝くんと、もうすぐ幼稚園に入園する咲、そして夫の両親と同居している。
結婚してすぐに咲を妊娠して、仕事を早々と辞めてから、彼の実家で同居。
買い物や病院へ行くときは義母が咲をみていてくれてとてもありがたいけど、私は正直家族だけで暮らしたかった。
「…光輝くん」
隣に座り、そっと寄り添った。
「…あー、今日は疲れたなぁ」
突然横になる光輝くん。
光輝くんは、咲が産まれてから、一度も私を抱いてくれない。
始めの頃は、身体が心配だからとか言われて納得してたけど。
こうして遠回しに何度も拒絶されると苦しい。
「…光輝くんは、私としたくない?」
今日は勇気を出して聞いてみた。
「いや、だって咲が近くにいるし、親が下の部屋にいると思うとやっぱさ〜」
だったら別居したらいいじゃない。
真っ直ぐ帰ってくるし、光輝くんは浮気とかできる人じゃない。
ただ単に、したくないのだ。
付き合っている時もそんなにしたがるほうではなかったけど。
咲がそろそろ入園するし、そろそろ二人目が欲しいのに。
義母にもせかされている。
「…排卵日が近い日だけでもいいって言ったじゃない」
「でもさ、ほら、毎日顔合わせて暮らしてる相手に欲 情しないんだよなぁ」
それって、私を女として見れないってこと?
虚しい気持ちを振り払い、諦めて布団に入った。
「俺、Aのことはほんとに大好きだよ。愛してる。大事だから、な?」
光輝くんは後ろから私をぎゅっと抱きしめた。
それはわかってる。
家族としては大事にしてくれてるって。
でも、それだけじゃ物足りない。
「うん…。ありがとう」
泣きたくなくて、ぎゅっと目を閉じた。
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作成日時:2018年12月9日 19時