ようこそ、消去屋へ。

「優しい貴方」 ページ19

「友人を恨むなんてとんでもない！」などどほざく奴もいるがいざ同じ立場になれば私と同じ気持ちになるだろう。

私には婚約者がいた。といっても婚約者は「好きな人が出来たから別れてほしい」と突然言ってきたんだ。

私はショックだった。5年も付き合っていて本格的に結婚を考える女性だったからな。今も結婚はしとらん。

そんな婚約者が好きになったのは彼だった。なんとなく分かっていたがな。

私は結婚が決まってすぐに彼に報告したんだ。彼は物凄く喜んでくれてねぜひ会いたいと言ってきたんだ。私も会わせたかったからちょうどいいと思っていた。･･････これが間違いだった。

とあるカフェで彼と私と婚約者で対面した。自己紹介をしてから彼はすぐに泣き出した。子供のように。婚約者はそんな彼を見て笑らいなざらもハンカチを貸していた。

私の心はざわついた。

婚約者の彼を見る目が私に向けている目線と同じだったんだ。恋こがれた奴にしか向けない目線でな。

結局その日は別れたがどうやら婚約者は私にプレゼントを内緒で送りたいとか、相談があるとかで何度も彼と内緒で二人っきりで会ってたらしい。

彼も彼だ。断れば良いものを。だが彼は真面目な性格だから断れなかったんだ。困ってる人を放っておけなかったんだ。

優しいだろ？いや、優しすぎるんだ彼は。

それが知らぬ間に人を傷つけることになるなんてな

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