臆病者:tn ページ19
戦況は全くもって良くない。今にも要塞に敵兵が雪崩込んで来そうな勢いだった。
tn「グルさん、どうするん」
gr「…兵を撤退させろ」
ため息混じりの言葉は思っていたよりも胸を抉っていった。インカムであいつらにそう伝えようとした時、先に通信が入った。
rbr「トントン!書記長室に戻れ!Aが!!」
ロボロの焦った声を聞いて総統室を飛び出し、見慣れた扉を乱暴に開けた。
『いや、ぁ、やめ、て!』
真っ先に目に入ったのは敵国の軍服を着た男二人に襲われている彼女の姿だった。
それを理解した瞬間俺は拳銃を取り出してそいつらの脳天を打ち抜いた。
tn「A、大丈夫か、怪我は」
『へ、平気』
頰についてしまった血を拭い取り、乱雑に開けられたブラウスから覗く下着が見えないように自分の上着を肩にかけてやった。
カタカタと震える彼女は俺の幼馴染で秘書の仕事をしていた。そんな彼女が戦闘などしたこともなく、こうして怯えるのは当然だった。
tn「何があったんや」
『総統はどこか知りたがってた。窓から急に入ってきて、私、何もできなくて』
tn「ごめん、ごめんな、怖い思いさせて」
まだ震えの治らない彼女の小さな体を抱きしめる。随分と怖い思いをさせてしまった。
学生時代も怖い思いをさせまいと必死に彼女を守ってきた。だが、咄嗟の判断とはいえ、彼女の目の前で人を殺してしまったのは間違いだった。怯えきった彼女を見てそう後悔をする。
でも、一番怖がっていたのは自分だった。こうやって彼女を危険な目に合わせてしまうことを恐れていた。
349人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
支配人B(プロフ) - りなさん» あぁぁぁ!!!聴けましたか!!!!最高と言っていただけて良かった!ありがとうございます! (2019年4月13日 7時) (レス) id: f5dea51b58 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 4/10聴きながら見てみました……朝から大号泣の感動でした……本当にこの話を書いていただきありがとうございます…!!!本当に本当に最高です…! (2019年4月13日 5時) (レス) id: 89412a173b (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - 心華さん» それを狙ってました!!! (2019年4月1日 6時) (レス) id: 5708e2b429 (このIDを非表示/違反報告)
心華 - 上げて落とす感じが良きですwありがとうございました。 (2019年3月20日 20時) (レス) id: d3b6f7acff (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - 嶺緒さん» ひぇ〜〜、ありがとうございます!最高と言っていただけて良かった! (2019年2月10日 19時) (レス) id: f5dea51b58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ