【実|況|者】サイケデリックな風景を 2【短編集】

精神状態に関するカルテ/Ab ページ9

＿＿＿仮面舞踏会

「あ、お姉さんまた来たよ」
『お姉さんじゃなくて、私は医者なんだけど』
「はいはいA先生」

いつものへらへらした彼が診察室に入ってきた

「今日は誰と話したい？」
『そうね、誰か話せる人でいいんだけど』
「じゃあ俺と話そうよ」
『わかったわ』

毎月病院に通院してる彼は二つの人格を持っている
つまり、二重人格

記憶が曖昧な時が多いとの事で相談を受けたことが始まり
初めはそれぞれの人格は離れていて
その時にした行動ももう一方の人格には記憶されない状態だった

でも、相談していくうちにお互いの人格をコントロールできるようになり
今では記憶も曖昧にだが少しずつ残るようになってきた
これならこの先もうまくやって行けそうだ

「それでね、その女の子がね」
『あなたは相変わらず女好きなのね』
「まぁね、彼はそんなに好きじゃないみたいだけど」
『そうなの』
「変わろっか？」
『そうね、お願い』

特に何かあるわけじゃないけど、へらへらした表情がなくなって
入れ替わったことが理解できた

「久しぶり」
『元気？』
「まぁ、そこそこ」
『彼とはうまくいってるの？』
「女好きなとこはどうしようもないけどね」
『そうみたいね』


患者名 アブ

両方の人格を使いこなせるようになってる
昔と比べたら、改善してきている

担当医 椎名A
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
二重人格とか専門的なことはわかりません
全部私の想像です

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