深くて甘いところ２（Ryosuke. Daiki. Kei）

Daiki side ページ36

マーケティングの資料？？？？


わざわざ、伊野尾さんが持ってくる必要性はない。





そっか。Aに会うために、持ってきたんだ。




有岡「朝、2人っきりだったんですか？？伊野尾さんとA」


事務員「んー？？多分そうじゃないかしら？？」







事務員さんは、PCをカタカタ打ちながら俺の方に視線を向けずに答えた。



オフィスに2人きりで・・・朝から何を？？




ふと、首を伸ばしてAの方に顔を向けると、


相変わらず、AはPCとにらめっこ状態で何かを必死に入力していた。



やっぱりきちんと聞かなきゃ、俺の中で整理がつかない。



あの、LINEの通知を見てしまった日。



Aは、俺が見てないと思っているだろうし、きっとAから伊野尾さんとどういう関係かを話してくれることはないだろう。




モヤモヤを1人で抱え込むのなんて、俺らしくねえ！！


今夜にでもきっぱりはっきり聞いてやる！！




俺は、唇をギュッと噛んで、バッグからスマホを取り出した。



『今夜、会いたい』




シンプルな文面だけど、俺は迷わず、送信ボタンを押した。



Aが一瞬、PCから視線を外し、手元を見たのが確認されると、


俺の送った文章に「既読」がついた。





そのまま。Aの様子を見ていると、


一瞬だけ俺の方を向いたA。



だけど、俺と目が合うとすぐに逸らす。




なんだよう。照れ屋さんめ！！






そんなことを考えていると、持っていたスマホが一瞬ブルルンと揺れ、


俺は目線を手元に落とした。







『A：ごめんなさい。今夜は先約があります。また連絡します。』

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